「それでは、解散!!!」
それは母の一声だった。突如、我が家の「解散」は行われた。両親の離婚が決まると、その後の展開はあっけなかった。心ではすでに母と父は別れていたのだから、あとは物理的な、法的な効力だけが家族という共同体を守り、縛り続ける日々が続いていた。「ようやく呪縛から解き放たれる」とまで豪語する母と、そこまで忌み嫌われていた父の様子を見ながら、そのどちらの遺伝子ももらってしまった私には唸るしかない結果でもあった。
私にとっては、もちろん、初の解散である。衝撃である。
とはいえ、母が父の足にしがみつくとか、私が泣きわめくとか、ドラマで展開されるような悲劇的な要素もドロドロしたやり取りも一切なかったし、なんなら母の顔色は桃色に輝いていて、今までで一番若々しく見えるほどだった。
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