血縁より深くにあるもの/カトートシ

是枝裕和監督が描く家族のカタチ

2019年5・6月 特集:ぞくぞく家族
テキスト:カトートシ
  • SHARE

「家族」ときいたとき、あなたは何を思い浮かべますか? 5・6月の特集「ぞくぞく家族」は、さまざまな関係性が存在する答えのない家族像のありようについて、頭を柔らかくして、拡張していくための特集でした。She isでは、毎月の特集テーマをもとに「VOICE」を書いていただける方を公募で募集。「ぞくぞく家族」の公募に寄せていただいた、カトートシさんのVOICEをご紹介します。

1年間交際した年下の男の子が、突然「家族」になった。

婚姻届は2人で有給をとり、市役所に持っていった。めったに行かない平日の市役所は小学校の職員室のような気まずさがあって、周りには年金のことを大声で話すお年寄りや税金関連の申請の列に並ぶ主婦しかおらず、私は映画『卒業』のラストを思い出した。

私たちの番はすぐに呼ばれ、ベージュの肘カバーをつけたおじさんがとても事務的に私たちの婚姻届を処理した。おじさんの左手薬指には錆びたような銀色の指輪があって、隣の彼が書類を記入する間、私はその指輪をじっと見てた。一連の手続きはとても呆気なかった。帰りのバスの中、窓の外の景色を見ながら「そうか、夫婦は血が繋がっていないのか」と当たり前のことに新鮮に驚いた。家族になることの簡単さと難しさについて考えているとなんだか胸がザワザワして、眼鏡の上からチラッと私たちを見た肘カバーのおじさんの顔が頭をよぎった。

PROFILE

カトートシ
カトートシ

大学職員 兼 映画エッセイスト

2018年よりカトートシとして活動を開始する。
大学時代は文学批評を専攻。
本屋や美術館のスタッフ、カナダでのライター経験を経た後、現在は大学で働く傍ら、「映画エッセイ」を執筆。映画から抽出したエッセンスを日常の枠組みで解釈し、言葉で再構築する。
カトートシという名前は、俳人である祖父に由来するもの。

血縁より深くにあるもの/カトートシ

SHARE!

血縁より深くにあるもの/カトートシ

She isの最新情報は
TwitterやFacebookをフォローして
チェック!

コメントする前に こちらの利用規約
必ずご確認ください

コメント

コメントはMembersのみ行うことができます
Membersについて詳しくはこちら
/ Membersの方のログインはこちら

この先は
MEMBERS限定のコンテンツです。
She isでは、月に一度ギフトをお届けするプランのほか、
オンラインコミュニティでのMembers同士のおしゃべりや
限定記事・メールマガジンなどを中心に楽しむプランの
2つの有料プランをご用意しています。

ログイン

MEMBERSについてくわしく

トップページへ