失踪だいすき/金森さかな

迷子になればいつか不思議の国に行けると思っていた

2019年7・8月 特集:やすみやすみ、やろう
テキスト:金森さかな
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「やすむ」ことは、人が生きていくために大切な行為。だけど、やすむことをわすれてしまったり、言い出しづらいときもしばしばあるのではないでしょうか。7・8月の特集「やすみやすみ、やろう」は、人間らしくよりよく生きるために、積極的に休む意思を持ち、環境をつくり、そしてやすむことの質と深さを増していこうという特集でした。She isでは、毎月の特集テーマをもとに「VOICE」を書いていただける方を公募で募集。「やすみやすみ、やろう」の公募に寄せていただいた、金森さかなさんのVOICEをご紹介します。

迷子になればいつか不思議の国に行けると思っていた。親がちょっと目を離したすきにいなくなり、ショッピングモールの中を自由に動き回るのが好きだった。雑貨屋さんのファンシーグッズも、本屋に並ぶ少女漫画も、親の好みに合わせて買ってもらうより、手に入れられないとわかったうえでひとり眺めていたほうがずっと楽しい。
子供用の広場では、知らない子とよく喧嘩になった。髪の毛にガムをくっつけられて大泣きしたり、なんかうざいと言って腕をつねられたり。
好奇心旺盛な性格をしているわりに、引っ込み思案で、憶病で、大人も子供も怖かった。
男の子は乱暴だし、女の子は仲間に入れてくれないからどっちも嫌い。私が困っているのを見かねて、何も言わずに算数の教科書を貸してくれたかずきくんのことだけが好き。

終始そんな感じだったから、教室にはどうしても行きたくなくて、行けなかった。たぶん、クラスメイトからはサボっていると思われていたのであろう。ずるい、と直接言われたこともあった。わかってもらえなくて悲しかったけど、しょうがない。私には保健室で寝ていることしかできなかった。スクールカウンセラーの同情を引くために、たまに泣いたりもした。お勉強は嫌いじゃなかった。

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PROFILE

金森さかな

二十代女性。国語が得意なひと。食べ物の好き嫌いがない。ちょっとしたことですぐに笑う。

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  • ちい
    金森さかなさんへ

    偶然わたしも同じような状況で、勝手に自分と重ねて読んでしまいました。前の仕事のやりたくなかったことから逃げるようにやめて、7ヶ月くらいフリーターをして、今はずっとやってみたかった仕事や生活をやっています。
    5ヶ月になりますが、なんだか最近失敗ばかりで、やっぱり私にはできないのかなあと気が弱っていました。
    ファンタジーみたいな自分の世界に逃げ込みがちですが、なんとか踏ん張りたいです。金森さんの文章を読めてよかったです。ありがとうございました。
    Dec 12.2019

    No.1

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