「やすむ」ことは、人が生きていくために大切な行為。だけど、やすむことをわすれてしまったり、言い出しづらいときもしばしばあるのではないでしょうか。7・8月の特集「やすみやすみ、やろう」は、人間らしくよりよく生きるために、積極的に休む意思を持ち、環境をつくり、そしてやすむことの質と深さを増していこうという特集でした。She isでは、毎月の特集テーマをもとに「VOICE」を書いていただける方を公募で募集。「やすみやすみ、やろう」の公募に寄せていただいた、カトートシさんのVOICEをご紹介します。
週休2日制。休日に向けてやりたいことリストを作りながら、平日に戦う女戦士。次の休みは何をしようか。新作の映画を観に行こうか。天気がよければ公園で絵を描くのも良いかもしれない。あとはいつか海外に住むために語学の勉強だってしたい。
そうしてやっと迎えた休日、映画の上映時間を調べるその時、鞄に画材を入れるその時、参考書を開いたその時、いつもの声が聞こえてくる。まるで太宰治の『トカトントン』のように、頭に鳴り響くその声に捕らえられると、突然目の前のものすべてが無意味でつまらなく思えてくる。新作映画だってどうせすぐにTSUTAYAに並ぶし、私なんかが絵を描いたところで一体何になるっていうのか。それに夢見る「いつか」なんて永遠に来るはずない。
そう、その声の正体は「退屈」。それが聞こえてくると、思い描いた素敵な休日は霧のように消え失せ、すべては退屈な人生をやり過ごすためのただの気晴らしでしかないと思えてくる。こうなるともう何をしたってだめ。やりたいことリストをゴミ箱に投げ入れて、あとはぶよぶよとしただるい時間が窓の外に漂うのをただ眺めるだけだ。
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