She is編集部のだいたい週報(2020年12月11日)

5年/星はめぐり、血もめぐる

テキスト: 井戸沼紀美、小島直子
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・5年(井戸沼紀美)
・星はめぐり、血もめぐる(小島直子)
・She is編集部の今週のおすすめ

5年

5年前に初めてお会いした人と久しぶりに連絡をとったら「5年、というのはなんだか、愛おしい年月ですね」とメールに書かれていた。わたしはこれまで「5年」を愛おしいと思ったことがなかったのだけれど、それからしきりに自分の中だけにある「5年」のことを考えてしまって、とまらなくなってしまった。自分がCINRAにアルバイトスタッフとして入社したのも5年前の11月のことで、なんだか感慨深くなるばかりで、今日は非常に恥ずかしいながらも、5年前に書いた日記を載せてみようと思います。振り返りモードはそろそろ終えて、また5年後のために、日記をつけ始めなさいという自戒を込めて……。

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4月、入社式で社長が『さらば、愛の言葉よ』の話をした。たしか初出勤日か何かにオリヴェイラが亡くなった。

仕事やめたいと思いながら行った海のロケで散歩中の高橋源一郎先生に会った。「シーユー!」と言いながら去って行く背中にしびれた。

仕事辞めたいと言って貰った、月に1日だけの休日で友達と車で海に行った。友達が作ってくれたCDでいろんな国の曲を聴いて、途中からラジオをつけたら、6月なのにピストン西岡がクリスマスソングを流し続けていた。海に着いたら裸足で触る夜の砂がひんやり冷たかった。屋上で雨降りの中で観覧車が観れた。

仕事やめてすぐの、自信なさすぎて全部破りたかったふがいない展示をあゆのおかげでちゃんと飾っておけた。親しい人たちが来てくれてtokiが部室みたいになった。ひとりの子だけが駅前で涙目で良かったって言ってくれた。

図書館に通って毎日1章ずつ『シカゴ育ち』を読んだ。ベランダに椅子を置いて午後食べるたい焼きが美味しかった。家に来てくれる女の子たちと笑えない量のお酒を飲んだ。全然記憶なくして朝起きたらユーチューブにビヨンセテイラースイフトなどの強気なプレイリストが作られていた。

『ブルーシート』を観に福島に帰ったその日におじいちゃんが倒れて入院した。夜中苦しくて暴れて手を縛られたとかを全部時間ごとにおばあちゃんがメモしていた。ICUに入るとおじいちゃんから管が出ていて、機械が空気を送る動きに合わせておじいちゃんのお腹が呼吸した。ブルーシートが開演した瞬間にまるごとあの場ごと、もうあの場じゃなくなって、風が吹き始めて、彼らのあの走り抜け方、話し方笑い方叫び方立ち方、きっと不安な気持ちも、何故だかあまりにたくましくって、始まりから最後まで引くぐらいボロボロ泣いてしまった。今はすっかり元気なおじいちゃんが、あの時新幹線に乗っている夢を見ていたと言った。動物の死骸でできたぬるい土にも夢の中で触ったと言った。

秋から新しい会社、帰り道、おでんを食べて酔いまくったり、下らねえことしか言えないカラオケも愛おしかった。朝気持ち悪くて歩いた川沿いもその後の不安も思い出す。初めて人の別れ話で泣いた。ハロウィンの渋谷で知らない人とただ『ビッグフィッシュ』だけ観て別れた。みんなでスカイツリーの灯りがつく瞬間を観た。上からわたしが写真を撮ったら下からカメラを見上げた人が月が綺麗なのに気がついて、そのあとみんなで下から見上げた。もぎたての林檎を貰った。憧れの人に握手してもらってタクシーから降りた。(She is編集部 井戸沼紀美)

星はめぐり、血もめぐる

年末だからか来年の運勢や星のめぐりの話をされる機会が増えた。その流れで「血液型なんですか?」とよく聞かれるのですが、いつも答えに躊躇してしまう。なので今回は私のおかしな血液型の話をしよう。

初めて自分が「Bm型」という意味不明の血液型だと知ったのは5年前。それまでは採血をしてもいつも血液型が「不一致」と判定されるか、「ん~たぶんO型かな?」と言われてその後に再検査になるパターンで、結局最後は血液型がわからずじまいなることの連続だった。「不一致」という判定結果を見るたび、「あなたは正常ではありません」と言われているようななんとも悲しい気持ちになるので、しばらくO型だと思い込むようにしていた。昔流行った「O型 自分の説明書」まで買ってきて、読めば読むほど私は紛れもなくO型だわと思い込み、O型であることを疑わずに生きていた。

ところが妊娠して大きな病院できちんと採血と検査をした日のこと。手渡された血液型診断書にでかでかと「Bm型」と書かれていた。その時の動揺は今も忘れられない。看護師さんに「Bmって何ですか? なんか高級車みたいですね。」と聞いても、「ちょっと珍しい血液型ですね、ウフフ!」と濁され、主治医に聞いても「うーん、今まで出たことないからわかんないな~。」と話をかわされてしまった。不安よりもこれは面白くなってきたぞ!と思ってしまった私は得な性格である。

後日、数少ない情報から自力で調べてわかったことは、「A、B、O、AB」の4つの型に分類されない稀な血液型のことを亜型といい、自分がその亜型に分類されるということ。日本人のうち約0.05%は亜型で、その半分はBm型ということ。輸血の時はとりあえずB型を入れとけば大丈夫ということ(赤十字調べ)。7000人に1人はいるらしいので、例えるなら満員の日本武道館で2人出会える確率くらい、まぁビミョ~な珍しさだ。で、Bm型が一体なんなのかというと、B型を表す赤血球が少ないB型ということらしい。つまり弱め(薄め?)のB型。病気ではなく、遺伝による変異なんだとか。しかし最もショッキングだった情報は、Bmのmはサルの血球と同じような性質からmonkeyにちなんでmがつけられたという説。お母さん、私はサルなのですか......?

世界はもう2021年になるというのに未だ謎多き自分の身体。今年は超満員の日本武道館こそ叶わなかったけど、来年こそは同志にめぐり会えるのだろうか。その日まで、私の血をめぐる孤独なたたかいは続く(続かないかも)。(She is編集部 小島直子)

She is編集部の今週のおすすめ

『燃ゆる女の肖像』

『ストーリー・オブ・マイライフ』では終始すばらしい劇伴が一度鳴り止むその一瞬の静けさに号泣してしまったのですが、『燃ゆる女の肖像』ではその真逆の音のアプローチに身震いしました。ずっとパチパチと燃えていた暖炉の薪が突然折れてハッと目が覚めるような、まばたき一つで世界が変わっているような、鮮やかで決定的な山場の作り方にも脱帽……。(She is編集部 井戸沼紀美)

開化堂の携帯用茶筒

野外でお茶をたてることを「野点」といいますが、野点にはまっている私の心をずどんと打ち抜いた品がこれでした。開化堂は京都にある茶筒の老舗。機械で計算されたかのようにピタッと蓋が閉まる茶筒はすべて職人による手作り。さらに心を鷲掴みにされたのが、付属の茶さじへの名入れサービス。職人さんがその場で「直子」と名前を彫ってくれました。今年のベストバイ!(She is編集部 小島直子)

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PROFILE

井戸沼紀美

She isコミュニティディレクター。個人的に『肌蹴る光線』というイベントを開催しています。文章を書くと読点が多くなりがち。

小島直子

She is プロダクト・ギフト ディレクター。趣味は石集め。食と身体の関係性への興味から、茶道と菜食に目覚めました。

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