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生理的なものは自分そのもの、無視しないで。安達茉莉子が描く

生理的なものは自分そのもの、無視しないで。安達茉莉子が描く

二匹のクマによる、ほっこりしすぎないあたたかい世界

2019年11・12月 特集:生理現象をおもいやる
テキスト・イラスト:安達茉莉子 編集:竹中万季
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お腹がすいたり、眠くなったり、眠くなったり、汗をかいたり。「今は起きてほしくないのに」というときでも、タイミングなんて気にせずやってくる生理現象には、日々悩まされることも多いはず。

ZINE『The Feeling When…日常の中に生まれてくるある瞬間について』や『私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない』の挿絵などを手掛けるイラスト作家の安達茉莉子さん。日常のなかで起きる小さな変化を見過ごすことなく、大切に愛情を持って寄り添うまなざしを持つ安達さんが、11月特集「生理現象をおもいやる」にカバーイラストと絵と言葉の作品『生まれ、変わる人達へ』を寄せてくれました。

わたしたちは、止まることなく変わり続ける。ときに悩まされる生理現象も、そんな変わりゆく自分へのサインだととらえることができたなら。そんな気づきを描いてくれた安達さんに、作品に込めた思いについて伺いました。

生理的なものは自分そのものだから、無視したり、無かったことにするのは自分を無視するようで悲しい

・特集「生理現象をおもいやる」のテーマをどのように解釈しましたか?

生理現象は、トイレに行きたいとか眠いとか、「生理なんてこなければ良いのに」とか、都合が悪いものとして語られることが多いな、というところがスタートでした。
だけど生理的なものは自分そのものだから、無視したり、無かったことにするのは自分を無視するようで悲しい。
からだの声をきき、生理現象に忠実に従うことはそれ自体が大切なことだけど、一方で、生理現象に向き合って生活することで、それまで見えなかった新しい自分にも出会えるのではないか、というような少しワクワクするような要素もあるテーマだと解釈しました。

She is 11月特集「生理現象をおもいやる」に寄せて、安達茉莉子さんが描きおろしたイラスト

からだの声をきくことで、外側の都合や事情に引っ張り回されて消耗しがちな人も、自分のペースに戻っていける

・作品をつくるときに込めた思い。

今年の夏に体調を崩したことがきっかけで、個人的にも身体やいろんな生理現象そのものを無視せず、自分そのものとしてやっていくことを意識しはじめています。
からだの声をきくことで、外側の都合や事情に引っ張り回されて消耗しがちな人も、自分のペースに戻っていけるのではないかと思います。

お腹の声、生理現象の声を良くきいてみたら、自分の中にたくさん快・不快の感覚や生理的欲求があったということを描きたく、いくつか絵の中に言葉を入れています。
自分の体調だったり生理的なものを、押し込めてしまわないでほしい、という思いでつくりました。

『生まれ、変わる人達へ/安達茉莉子』より

絵と見る人の間にある一定の距離感があるようにする

・作品をつくるときにやらないようにしようと思ったこと。

「ほっこり」しすぎないことと、絵と見る人の間にある一定の距離感があるようにする、というのはいつも意識しています。

「お腹が空いた」という時にフランス語だと「空腹を持っている」という表現になるのが面白いなと思った

・つくっていておもしろかったところ、こだわりポイント。

普段、絵とことばを入れる時は英語が多いのですが、今回はフランス語を入れました。
「お腹が空いた」という時にフランス語だと「空腹を持っている」という表現になるのが面白いなと思ったことを思い出して、入れてみました。
フランス語を学んだ当時、なんだかより鮮やかに自分のお腹辺りに「空腹」の輪郭を感じられるような気がして、空腹を持つ自分を感じられるなら、それはそれで生きてる感じがしていいなと思ったのでした。

「暑い」「おなかがすいた」「眠い」「熱がある」……フランス語だとすべて「J’ai(私は持っている)」で表現される

生理現象に向き合う時は、同調しすぎないことも大事

・生理現象に向き合うためのアイテム。

そうはいっても生理現象、ちょっと本当に勘弁してよ、といいたくなる時もあります。ただ、生理の重さや気圧、発熱などに苦しんでいる時は、肉体的なしんどさもありますが、いつものわたしじゃない「不本意なことをさせられてる」って感じが嫌なのかも、と思いました。

逆説的に、生理現象に向き合う時は、同調しすぎないことも大事なのかと思います。とことん自分に寄り添って休む時が必要な時もありますが、病人モード、しんどいモードに入るのではなく、おもいきりかわいい、クールな部屋着にしたり、薄化粧に赤いリップにするだけで、モードが変わるのを感じます。そうすると意外と距離感をもって生理現象と向き合えるような気がします。

最近気に入っているのはTHREE の赤いリップです。軽いテクスチャーで、そのままつけられます。カウンターで勧めてもらったそのリップは11番で、”RUN FREE”と名前をつけられていて、それを見るたびに毎回、そうだよな、RUN FREEだよな、と思います。

わたしにとって大切なShe

・あなたにとって大切なShe は誰ですか?

祖母、母、妹、ずっと一緒に励まし合っている友人達、いつも遠くで並走しているような、すべての尊敬する人達。

PROFILE

安達茉莉子
安達茉莉子

大分県日田市出身。大自然に囲まれながら、本と空想の世界にトリップするインドアな幼少時代を過ごす。政府機関での勤務、篠山の限界集落での生活、イギリスの大学院留学など様々な組織や場所での経験をする中で、人間が人間であるための「言葉」を拠り所として制作を続けてきた。

2015年からは、東京都内で"MARIOBOOKS"として活動開始。セルフパブリッシングで詩集・エッセイ集、ZINEを発行している。言葉とイラストで「物語」を表現する。

note『毛布』− 言葉と絵のエッセイを連載中。

INFORMATION

新作イラスト詩集『消えそうな光を抱えて歩き続ける人へ』の刊行に向けて現在準備中です。(2020年5月刊行予定 発行:ビーナイス)

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