「女だからこうしなきゃ」は感じない。様々な常識が前提の国オーストラリア

シドニーで暮らしているあないすみーやそこさんが綴る

2020年1・2月 特集:これからのルール
テキスト・イラスト:あないすみーやそこ 編集:竹中万季
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日本で暮らしていると「あたりまえのもの」「変えられないもの」として存在しているように感じられるさまざまな「ルール」。少しずつ変化していっているものもあれば、いまの時代に合わず、これから自分たちの手でつくり変えていくべきものもたくさんあるように感じられます。国外で暮らす方々に、法律や制度のようなものからなんとなく「こうあるべき」という空気まで、いま暮らしている場所でのルールの捉え方や日本で存在しているルールとの違いについて4つの質問を投げかけました。

1.今暮らしている場所はどのような場所ですか?
2.今暮らしている場所で、ルールを変えていくときに人々はどのようなことを行っていますか?
3.日本にはないけど日本にあったらよいのではないかと思う/社会を運営していく上でポジティブに働いているとおもうルールを教えてください。
4.「こうあるべき」というムードを感じることが多い日本。あなたが暮らしている場所にはこうあるべきといったムードはありますか? あるとしたらそれはどういうトピックに対して象徴的に存在しており、それに対し人々はどう向き合っていますか?

三人目はオーストラリアのシドニーでワーホリをしているあないすみーやそこさん。日常に起きたことを軸に、イラストやアニメ、zine、漫画など幅広く活動しています。さまざまなバックグラウンドを持つ人が同時に暮らしているシドニーでは、世界や自分の国で何が起きているか意識的で、政治的に意見を持っている人が多いそう。がんばりすぎたり、無理しすぎないことで生まれる日本とは異なる時間の使い方についても聞きました。

さまざまなバックグラウンドを持つ人が同時に暮らす、国際空港のような国

今暮らしている場所はどのような場所ですか?

オーストラリアのシドニーに住んでいます。

さまざまなバックグラウンドを持つ人が同時に暮らしているので、常識がコミュニティによって違っている、面白い街です。

多文化社会なのが見てもわかるので、街を歩いているとき、国際空港のようだなと感じたことがあります。
英語以外の言語を見聞きすることも少なくないし、
例えばカフェに行けばアラブの食材を使ったサンドイッチがあったり、日本食からインスピレーションを受けたイタリアンレストランがあったりします。
ある国のコミュニティが存在している地域に行けば本場の味が味わえたり、輸入品が簡単に買えたりもします。

そのため、「オーストラリア(人)はこう」とは言いにくい点もあります。
一時的に住んでいる人とずーっと住んでいる人、街、コミュニティによっても見える世界が違うと思います。
私の視点から見えている「住んでいる場所」についてお答えします。

気候変動デモのイラストを配布したり、コーヒーショップが環境問題の啓蒙活動をしたり。政治的に意見を持って活動する人々が多い

今暮らしている場所で、ルールを変えていくときに人々はどのようなことを行っていますか?

人々が政治的に意見を持って活動をしている印象があります。
世界や自分の国で何が起きているか関心がない(もしくは知らない)という人はかなり少ないと思います。
それはオーストラリアで英語が話されているのでニュースや活動をシェアしやすいということも関係してると思います。

シドニーで毎年行われるゲイとレズビアンによる有名なパレード『シドニーゲイ&レズビアン・マルディグラ』も、はじめは同性愛が違法だった1978年にデモから始まっていますが(当時の警察がデモ参加者をかなり暴力的に抑え込んでしまっていた)、今ではデモ的な内容であると同時に華やかなパレードになっています。
同性結婚がオーストラリアでできるようになったのは2017年です。
いろいろな人がいろいろな場所でデモに限らず発信を続けた結果、法律を変えることまでできたのではないかと思います。

私は『MCA Zine fair』というジンフェアに参加したことがあるのですが、隣のテーブルにいたアーティストの政治的な内容のzineがよく売れてたり、みんなが立ち止まったりしているのを見て、(アートに関心にある人が特にそうなのかもしれない、とも言えるのですが)政治に関心が高い人が多いんだなあと感じました。フェミニズムを扱うzineも多かったです。

他にも普段から見かけたり気がつくことでは、
アーティストが気候変動デモのためにプラカードのイラストを配布したり、
コーヒーショップが環境問題についての啓蒙活動をしていたり(コーヒー豆の未来も危ういので)、
とにかくそれぞれが気になったことに関して個人でも団体でも発信しているように感じます。

あないすみーやそこさんもオーストラリアの山火事について寄付以外にできることをTwitterでイラストにして発表

「きちんとすること」にエネルギーを使わない、無理して頑張ることが美徳とされてない

日本にはないけど日本にあったらよいのではないかと思う/社会を運営していく上でポジティブに働いているとおもうルールを教えてください。

無理のない働き方をすることです。
業種にもよることかと思いますが、人が働きすぎずに自分以外のことを考える時間や心の余裕があるのではないかと思っています。
コーヒーショップは夕方には閉まるし、お店の閉まる時間は早いし、
帰宅ラッシュが日本より早い時間だったり、そういうことからも感じられます。
通勤中の人たちの服装を見ていてもさまざまで履きたいものを履き、着たいものを着ているんだなと思います。
皆が気を張りすぎず、必要以上に「きちんとすること」にエネルギーを使ってないように思います。

また、サービス業ではお客さんと店員さんの関係が日本よりもっと対等です。例えばカフェの店員さんと客の関係は、ご近所さん、友達に近いような感じです。
もちろんサービスによっては店員さんが素晴らしい対応をしてくれます。そしてその分お金を多く払うことになります。

いろんな点で無理して頑張ることが美徳とされてない感じです。
休日の多さも違っています。例えば正社員なら有休が4週間あったりします(ただし、ワーホリや学生など外国人はビザや言語の問題で法律で守られた環境で働けずにいる人も多いです)。

もし日本人の働き方がもっと柔軟になって、せめて労働時間が減れば、いろいろなことの可能性が広がるのではないかと思います。

「女だからこうしなきゃ」「私はこの年齢だから……」のようなことを感じることがない

「こうあるべき」というムードを感じることが多い日本。あなたが暮らしている場所にはこうあるべきといったムードはありますか? あるとしたらそれはどういうトピックに対して象徴的に存在しており、それに対し人々はどう向き合っていますか?

私は外国人として住んでいるからかもしれませんが、日本のように「こうあるべき」というムードを感じていません。
それは私が日本にあるムードを知っているから、それよりも緩いオーストラリアで見つけるのが難しいからかもしれません。
日常で言えば、「女だからこうしなきゃ」「私はこの年齢だから……」のようなことを感じることがないです。
また、性(ジェンダーバイアス)のことだけでなく、「パートナーいないの?」「就職しないの?」「なんでこんな色に染めるの?」のような、まるで生き方に正解があるかのような空気はぜんぜんないように感じています。
いろんな人がいることと、フェミニズムが発達しているから、「様々な常識がある」「理想像が一つじゃない」という考えが前提にあるからだと思います。

「察する」「汲み取る」よりも「自分の意見を持つ」「コミュニケーションをとる」を大切にする社会なのかなと思っています。
そのため「社会のムード」よりも「自分がどうしたいか」という方に意識が向かうのかもしれません。

PROFILE

あないすみーやそこ
あないすみーやそこ

東京生まれ/シドニー(ときどき東京)在住
絵を描くこと(つくること)がやめられません。
日常に起きたことなどを軸にイラスト・アニメ・ZINE・漫画などの制作をしています。

INFORMATION

関連情報
CLIMATE CHANGE | 気候変動

温暖化についてのフリーペーパーを製作しました。ダウンロード、またはお送りすることができます。
https://yasuko.garden/download.html

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