目に見えるものから見えないものまでわたしたちは、ルールに囲まれて生きています。ルールという概念にはどこかかたくるしさを感じてしまうけれど、ほんとうのルールは、心を縛るものではなく新しい日々をよりよくするものであるはずです。まずは知って、そうすれば問いが生まれる。わたしたちのこれからのルールをほのあかるいほうへと探しにいきましょう。
今回は「ルール」を連想させる絵を描くイラストレーターと、その作品をご紹介します。こりかたまったルールを追い抜き、身近なきまりごとや秩序があなたを解放する未来をおもうきっかけになれば幸いです。
主に日常生活において感じるストレスやコンプレックスをテーマに制作する、1996年生まれのKenny Painさん。切ない場面を柔らかい線と鮮やかな配色で描く画風が特徴です。
今回は、彼のイラストの中から、座り込んで思惑をするように見える二人組、解放的に泳ぐ裸体の恋人たち、何者かに足を掴まれ動きを封じられている人物の絵をご紹介します。描き出されたこれらの場面は、ルールに関するイメージのグラデーションを思わせるものばかりです。ルールとは厳正で拘束感のあるものだという印象が我々のからだを無意識にこわばらせる反面、「心地よさに配慮した約束事」という役割を持つこともまた事実です。
シリアスなシーンやシンプルな対象の中にテーマが光る作品を生むKenny Painさんに、「絵の創作、もしくは社会制度のこれからのルールについて、理想や感じていること」を問いかけたところ、こんなお返事をいただきました。
主に普段の生活の中で感じたことを絵で表現しています。日々受けるストレスや自身のコンプレックスなどを絵で表現することで、ストレス発散になりネガティブな気持ちを緩和させます。
社会には自分が知らない様々なルールがあるし、これからもできていくように感じます。 自分たちの生活を豊かにするためには、より良いルールかどうか見極めていく力を身につけることが大事な気がします。
日々の中で感じたストレスをないがしろにせずに注視することは、自分自身と周囲について知り、状態を緩和することにつながるはず。暗く消極的な気分になってしまうことはどうしてもあるけれど、身近なルールやストレスと打ち解けて、建設的に生活と向き合っていけたら素敵です。そしてあたらしく生まれつづけるルールに対しても、知り、見極め、良いものとは親しくする姿勢を心がけていきたいですね。