突如訪れた自粛要請期間中、花や葉など、植物に癒やされた人は多いのではないでしょうか。いつ抜けるのかわからない閉塞感のなかでも、植物は一秒一秒変化していく。昨日よりも蕾がひらいていたり、時には枯れかけていた花の水を替えたら茎がすっくと持ち直したり、朝起きて花を見やるたび昨日と違った姿になっている植物の営みには、生命の回復力が見てとれて、どこか癒やされていくような感覚がある気がするのです。
今月の特集「癒やしながら」のメインビジュアルは、花に囲まれて絵を描いているmaegamimamiさんに描いていただきました。「何が正しい世界なのか断言はできないけれど、自分にとっての当たり前な日常を守る」ために、どうか大切なものを見失いませんように。
休憩して見直すこと。補強し整えること。自分の芯を守ること。
・特集「癒やしながら」のテーマをどのように解釈しましたか？
休憩して見直すこと。補強し整えること。自分の芯を守ること。
She is 7月特集「癒やしながら」に寄せてmaegamimamiさんが描いた作品
何が正しい世界なのか断言することは出来ないけれど、自分にとっての当たり前な日常を守り抜くのは大切だと思います。
・作品に込めた思い、考え方は？
3月。私は、代々木上原にある週末だけ営業する花屋・edenworks bedroomで個展を開催していました。やむを得ず最終週の開催を断念したのですが、その開催するはずだった3月最後の週末、営業前のbedroomへ絵の撤収に行きました。少しやり切れない言葉にならぬ思いを胸に抱え店の扉を開けますと、店内はいつも通り週末分の目一杯の花で埋め尽くされていて、色とりどりの花たちは「これが正しい世界よ」と咲き誇っていました。
何が正しい世界なのか断言することは出来ないけれど、自分にとっての当たり前な日常を守り抜くのは大切だと思います。どうか見失いませんようにと、描いた彼女に思いを託しました。
通い慣れていたはずの景色が全く違うものに変化して。
・新型コロナウイルスの拡大によって、その後、生活のなかで変化したことはありますか？
そもそも自宅を作業場として仕事や創作をしている身なので、この外出を良しとしない人となかなか会えぬ今の現状は、時たま訪れる締め切り前のいつもの日常です。あくまで私個人としてですが、幸か不幸か大きな変化はありません。
ひとつ挙げるとしたら、移動手段。自転車を購入し、今までタクシーや電車を利用していた場所まで自力で出向くようになりました。通い慣れていたはずの景色が全く違うものに変化してくれて、風を感じながらいつも楽しいです。
自宅兼アトリエの様子
自分は自分で喜ばせないと。と、常々思っています。
・自分を癒やすためにおこなっていること。
自分は自分で喜ばせないと。と、常々思っています。それが癒しという言葉になるかは難しいのですが、そうも取れそうです。
部屋の中に花を絶やさないのもそのためなのだと思います。花や植物を愛でている時間は、人間らしくいられている気がして好きです。
edenworks bedroomでの個展『BREATH』の様子。花に囲まれて。
