詩「P/M S」/戸田真琴

特集「癒やしながら」に寄せた6人の詩と短歌

2020年7・8月 特集:癒やしながら
詩:戸田真琴
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「P/M S」戸田真琴

折り重なる疑問符が 土砂崩れを起こしたように熱を出す
ズキズキと痛む頭の奥を注意深く歩く 裸足にくつしたを履く
床の凹凸
ちいさなひび割れ 唸るような音
滲み出た液
いつか治った怪我のあと
天井から下がる1本の糸が鼻先に触れる2秒前
ここまでこないと見えなかったね、あえかに光って

きみは、涙を見せない
「どうせ壊れてしまうくせに治そうとするの」
銀の彗星が壊れそうに脳内を、走る、走る
ここに着くまでにどれだけどれだけ身体から隕石をこぼしてきたの
石礫はどこか惑星に惑星に 何か重力に惹きつけられて引っかき傷を残していったかもしれないが
きみの方がずっと傷ついていた 剥がれ落としながら泳いでいた

きみは、涙をこぼさない
ここまでこないと見えなかったね、光ってしまって
折り重なる疑問符が土砂崩れを起こしたように熱を出す
きみの気づかぬ小さな傷から
どうか細菌もウィルスもひとつだって入り込んでは行きませんように
祈りとは結果をコントロールすること、を手放すということ
君と私をとコントロールすること、を手放すということ

少し遠くの川に行こう
見たことがない遊具を越えて 陽がひまわりの軸のままに落ちる
夏はいつも気がついたらすっかりそこにある
そしてまた潤ったまま
わずかに癒えていく
「生きているだけで君は許されているんだよ」と言ってしまえることがある
「腐った茎がしなだれ落ちる ふくよかなバラが咲き出でる
きみが傷ついていなかったら自分の怪我にも気づかなかったね
ドラマのように星は落ちない 強くない私たちがいる

ほかの人の「情報ではない言葉を今。「癒やしながら」に寄せた6人の詩と短歌」をよむ
のびやかに紡がれた詩や短歌の言葉が、頭を満たしていた考えをときほぐし、ゆさぶり、ずらすことがある。自分で自分をたすけるための癒やしを宿した言葉を。

伊藤紺の短歌
大崎清夏の詩
初谷むいの短歌
文月悠光の詩
雪舟えまの短歌

PROFILE

戸田真琴
戸田真琴

2016年にSODクリエイトの専属女優として処女のままAVデビュー。ブログの映画評をきっかけにKAI-YOU.netにて映画とお悩み相談のコラム『悩みをひらく、映画と、言葉と』を連載開始。2017年にはクラウドファンディングを達成し映画「ミステリートレイン」のロケ地メンフィスにて写真集を撮影。同年11月にミスiD2018を受賞。人生の夢は映画を撮ること。

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