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善良な「グズグズのブロッコリーのパスタ」

ブロッコリーには茹ですぎた側の食べ方がある

連載:生物群の「簡単なごはんしか作りたくない」
テキスト:生物群 編集:竹中万季
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グズグズのブロッコリーのパスタは善良です。

ブロッコリーを茹ですぎてグズグズになったことがある人は多いと思います。存外火が通りやすい野菜で、うっかり少し鍋から目を離してしまい、硬く茹でてドレッシングをかけて食べたかったのにと半べそをかいたことが私にもあります。でも硬い側の食べ方と、クタクタ、グズグズにした側の食べ方がありますので、それに気づいてからは茹ですぎてももう問題ありません。

ブロッコリーをふさに分けて長めに茹でる、パスタを茹でている間にブロッコリーをフライパンにうつしてクタクタに潰しながらオリーブオイルとにんにくで火にかける、塩で調味。パスタが茹で上がったらグズグズになったブロッコリーをパスタの上からかけてパルミジャーノを削ります。これだけでいいです。ベーコンとかパンチェッタとかそういうのもいりません。いろいろ加えてもいいけど、ブロッコリーとチーズだけで美味しいです。しかしアレンジを加えてもまた別の美味しさがあります。パスタの種類を変えていくつか試したのですが、乾麺より生麺が合っているような気がします。また、もう少し言えば平打ち麺の方が美味しい気がする。

さて、先日は、乾麺のフェットゥチーネで作りました。今年の2月に台北に行ったときに、迪化街で買ったからすみのかけらを更に上から削りました。盛ったのは夏休みにバンコクのプラカノン市場で買ったタイの軽くて丈夫、カラフルなメラミン食器です。あちこちで手に入れたものが集まって自分の目の前にあり、それを自分の中に入れる、ときには誰かとともに状況を共有する、ということが好きだなと思います。

自炊をしていると、どうしても何か新しく手に入れたさまざまな調味料をふんだんに使ってみたくなったり、余っている少しの食材を複数入れたりしたくなるのですが、この頃は、必要不可欠な具だけを使って主軸が定まっていた方が美味しいと思うようになりました。2,3種類の少数の食材による組み合わせの妙というものがある。そうすると見た目には飾り気のない地味な外見になるのですが、舌の上で感じられる感覚は深く、ひとところに決まったものになると思います。

PROFILE

生物群(せいぶつぐん)
生物群(せいぶつぐん)

ジャンルにとらわれず目が届く範囲の様々な食べものを食べるインターネットユーザー。あくまで自身の信念である「今晩自宅に無事帰宅する」ことを貫きながらも、積極的にアルコールも飲んでいくスタイルが特徴。近年はカレーに並々ならぬ情熱を注いでいる。本職は心優しい内科医。

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