『High(er) magazine』haru. 乗り越えられない壁は横を走ればいい

『High(er) magazine』haru.
乗り越えられない壁は横を走ればいい

変化は自分の中から湧き出るものであってほしい

2018年3月 特集:変身のとき
インタビュー:野村由芽 テキスト・撮影:若尾真実(sitateru) 編集:竹中万季
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ファッションやカルチャー、政治などさまざまなシーンを巻き込み、常に変化し続けるインディペンデントマガジン『HIGH(er) magazine』の編集長を務めるharu.さん。She isでは彼女と一緒に、さまざまな変化が訪れるこの季節にぴったりのタンクトップを作りました。肌触りの良いサーマル素材で、背中には揺れ動く気持ちをふわっと持ち上げてくれる小さな翼が。タンクトップに込めた想いとともに、5号目を迎える『HIGH(er) magazine』を作る上で感じた変化や、大学を卒業し環境が変わるなかでharu.さんが思う「変わりたいこと」「変わりたくないこと」とは何か聞きました。

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「変身」って、キューティーハニーみたいに一瞬で何か別のものに変わるということだけではない。

She isの3月のテーマ「変身のとき」をもとに、タンクトップのイメージを考えてくれたharu.さん。はじめに「変身」という言葉を聞いたときのイメージから、だんだんと考えが変わっていったようです。

haru.:「変身」と聞いて最初に思い出したのは、カフカの『変身』だったんです。主人公が朝起きると急に虫になってしまう話ですね。あとは、キューティーハニーがピンチのときに急に「変身」するイメージ。でも実際には、「変身」って、一瞬で何か別のものに変わるということだけではないんですよね。

変わったかどうかって、後になってからわかることのほうが多い。例えば、同じ危機に直面したときに自分が以前と違う対応をして、「あ、変わったな」って気づいたり。それに、良い方向に変わっていくということはもちろん、すでにある良いところはそのままにしておくってことも今では大事だと思っています。

そんなharu.さんも、高校生時代にドイツの学校に留学していたとき、言語が通じないことや外見の違いなどのコンプレックスから、自分の見た目を「変身」させようとしたことがあったそうです。

haru.:「日本人だから、黒髪ロングでおとなしいharu.」っていうレッテルを貼られるのがとにかく嫌だったから、そのイメージを払拭したくて、髪を超短くしたり、目の周りを黒く囲むメイクをしたりしていました。コンプレックスを拭うために、手っ取り早く自分を変えられるのは見た目だろうと思って、いろいろ実験したんです。でも、それってただ見た目を取り繕っているだけで、何にも変わらなくて。理想像があるわけではないのに「見た目を変えなきゃ」という気持ちが先行してしまっていたのかも。

そんな失敗を経験して、いま、『HIGH(er) magazine』(以下、『HIGH(er)』)の編集長として大事にしていることは、「正直でいること」。

haru.:『HIGH(er)』を作り始めてからいろんな声をいただくことも増えたんですが、まわりの意見を聞いて合わせていくよりも、自分たちが本当にやりたいことに対して正直でいるっていうことのほうが、読者の人たちにとって大事なんだってことに最近気づいて。今は意識して「正直でいること」を大事にしています。

一番近くにいる人さえ大事にできていなかった。それなら、私にとってものづくりしている意味がない。

現役大学生で編集チームを組んで2016年に立ち上がった『HIGH(er)』も、次号で5号目を迎えます。方向性や編集方針にはどのような変化があったのでしょうか。

haru.:最初は、自分たちのやりたいことをやろう、本当に好きなことを紹介しようって感じで始まったんです。編集部以外の人との関わりがあったわけでもなかったので、自分たちについて語ることしかできなかった。2号目からは、外との人間関係が自分たちの作るものに大きく影響を与えることがわかってきて、3号、4号ではさらに外に広がろうとしていきました。けれど、5号では私も大学を卒業するし、「自分たちが好きなことをする」というルーツに立ち戻ろうと考えていて。号を重ねるにつれてより外へ広がっていったけれど、その広がりをコントロールしているのは編集部にいる自分たちだという意識を改めて持ちたいと思っています。

周りから注目されるにつれて、haru.さん自身や編集部のメンバー内にもさまざまな変化が。まわりの人との関わりの中で、haru.さんは大事なことに気づかされました。

haru.:『HIGH(er)』が広がって、やることが山積みになっていったときに、私にとって重要な「他者」を傷つけてしまったことがあって。でもその人は、私に対して「こういうことが嫌だ」とはっきり言ってくれた。そのときに、「まわりの人がいなかったら何もできないのに、私何してたんだろう」って気づいたんです。

もともとやりたかったのは、コミュニティを形成することとか、個々が輝ける場所を作ることだったはずなのに、一番近くにいる人さえ大事にできていなかった。それなら、私にとってものづくりしている意味がないと気づいたんですね。今は作っている自分たちの関係性を強固にすることが、読者である「遠くのあなた」にも伝わると思っているんです。

読者のことも考えるけれど、やっぱり一番に考えるべきは、作っている人たち、まわりの大切な人たちのコンディションだと言い切るharu.さん。その考え方が、『HIGH(er)』の魅力や底知れぬ強さを作り出しているのかもしれません。

私はどうやって乗り越えたら良いかわからない壁を横目に見ながら、壁沿いに走り続けるタイプなんです。

今回、She isと一緒に作ったタンクトップには「『変化』も『そのまま』もこわくないタンクトップ」という名前がつけられ、haru.さんからこんな文章が寄せられました。

遠くを見つめようとすればするほど、私の輪郭は不確かなものになっていく。一日の終わりに考えられるのはせいぜい明日のことだけなのに。夢を語るとき少しだけ苦しいのは、あなたも同じかしら。

冬の間、厚手のセーターの下で押さえ込まれていたいろいろなきもちが、網目という網目から溢れ始めている。「変わりたい」と「このままがいい」が交互にきて、めまいがしそうだ。

ほら、今日みたいなこんな日に翼がほしいと願ってしまう。

この文章を考えるときも、haru.さんはまわりの人たちを思い浮かべていたそう。

haru.:私のまわりには今、変わろうとしているのに壁を抱えている人がたくさんいるんです。でも私はあんまり力になってあげられていなくて。そんな人たちのことを思ってこの文章を書きました。

私はどうやって乗り越えたら良いかわからない壁を横目に見ながら、壁沿いに走り続けるタイプなんです。もちろん壁を目の当たりにしたら、落ち込むんですよ。「絶対超えられねえよこれ」って。けど、もしかしたら走って行った先で壁がだんだん低くなってるかもしれないじゃないですか。だから、とりあえず目の前のことを頑張って、横目で壁の高さを確認しながらその横を走り続けようって(笑)。

無理に壁を超えたり、急に変化することだけが正解ではない。haru.さんの「変わる」ことへの考え方は、このタンクトップのストーリーを通じて、彼女のまわりの人にも、そしてこれを読む「遠くのあなた」にも伝わっているはず。

PROFILE

haru.
haru.

同世代のメンバー5人を中心に制作されるインディペンデントマガジン『HIGH(er)magazine』の編集長を務める。『HIGH(er)magazine』は「私たち若者の日常の延長線上にある個人レベルの問題」に焦点を当て、「同世代の人と一緒に考える場を作ること」をコンセプトに毎回のテーマを設定している。そのテーマに個人個人がファッション、アート、写真、映画、音楽などの様々な角度から切り込む。

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