良質な睡眠で、絶望的な気持ちを乗り越える
会場のお客さんからいただいた質問にも回答していきます。「精神的な不調の話なのですが、みなさん絶望的にダウナーな時間ってありますか? そんなときはどう乗り越えますか?」という質問に、長田さんは「あります!」と話します。
長田:私、北欧ミステリーがすごく好きなんですけど、北欧って日照時間が短いからビタミンDが合成できなくなって、うつ病になってしまう人が多いそうなんです。だから冬の時期はとくに、絶望的な気持ちになったらビタミンDのサプリメントをとって、PMSの対策をして、体を温める。あと、自分の生活に関係ないことを考えたりします。
そういうふうに、絶望的な気持ちになったときのルーティーンができていて。これは年齢を重ねてできるようになってきました。
市川:私はものすごく絶望的になる人なんですよ。何をしてもネガティブになってしまうので、そんなときはとにかく寝ます。睡眠をよくするために、香りを大切にしていて、アロマディフューザーを使っています。あたたかいアイマスクもいいですね。
市川さんの睡眠の話をうけて、長田さんが教えてくれたのは「Sleepdays」というアプリ。
長田:レム睡眠、ノンレム睡眠のリズムを計算して、朝すっきり起こしてくれるアプリなんです。このアプリから派生したプロダクトもあって。たとえば、履くだけで血行をよくするレッグウェアとか。あと、お風呂に入って体があたたまって、そのあと体温が急激に下がるっていう温度差で眠気が発生するみたいなんですけど、その体温の変動を助けるドリンクがあったりします。
竹中:私もSleepdaysのアロマルームミストを持っています。毎日同じ匂いをかぐことで、それが眠りの時間の合図になるんです。さっき市川さんがおっしゃっていたアロマディフューザーの作用と一緒ですね。
「Sleepdays」のアロマルームミスト。気持ちが安らぐ習慣づくりをサポート
ライフスタイルを見つめ直し、自分に合った食事のあり方を考える
絶望的な気分になってしまったときも、その対処法を自分なりに見つけ出して、習慣化できると、それだけで心が少し軽くなるのかもしれません。続く質問は「体調を良く保つために、食べるものはありますか?」です。
長田:「クレンジング・カフェ代官山」っていうお店があって。私、去年本当に体調が悪くて、でもすごく忙しかったんです。朝ごはんをつくる元気がないときにここのスープを飲んで生き延びました。薬膳とか自分でできたらいいけど、それができない人にはとってもいいと思います。自分で注文してはいるんですけど、時間がたってそれが届くというアクションがあるだけで、「これをお食べ」って誰かに思ってもらっているようなやさしさも感じられる気がします。
一方で食べ物にはあまり気をつかわないという市川さん。20代の頃はマクロビなどさまざまな食事のスタイルを実践したそうですが、「いろいろやってみて、もともとのライフスタイルがあまり乱れていないということに気づいたので、そんなに食事に気をつかわなくても体調が変わらないんです」と話します。
市川さんのようにいろいろなものを試して自分のライフスタイルを見つめ直し、無理せずに健康を保てば、特別なことをしていなくても心が健やかでいられそうです。長田さんのように薬膳や漢方なども、その時々にあわせて活用することで心にも体にも効いてきそう。
野村:台湾と日本の女性がふたりで立ち上げた「DAYLILY」という漢方のブランドがあるんです。台湾では漢方が根づいていて、対症療法ではなくて、血の巡りをよくして不調を予防するっていう考え方があるそうです(参考:台湾の女の子から学び、「お薬至上主義」は終わりにしよう/小林百絵)。漢方だけじゃなくて、ライフスタイルブランドでもあるので、雑貨もかわいいですよ。
ここまで、テクノロジーで進化したサービスやアプリも多く紹介してきましたが、「すべてをテクノロジー化させることのメリットとデメリットは?」という最後の質問に、テクノロジーやガジェットに造詣の深い市川さんが答えます。
市川:テクノロジーって、なにかしらの目的があってそれを達成するための手段として使われるものだと思っていて。なにかを達成するために、テクノロジーを使うことが正しそうであれば使えばいいし、そうでなければ別のやり方を考えればいい。すべてをテクノロジーで覆ってしまえばいい、みたいな考え方はナンセンスかなって私は思います。
野村:たとえばDAYLILYはまず漢方を広めたいという想いがあって、そのためにデザインやコミュニケーションを工夫することで人の心を動かすものになっていますよね。なにかをつくったり始めたりするときに、手法ありきになったら本当に伝わるものにならないと思うんです。それってなにをつくるときにも通じる思想じゃないかなって。
自分の生活や気持ちの延長線上にある、あたたかなクリエイティブを
今回開催されている『WonderFly』のアワードは、女性たち自身が心身の実感をもとに、よりよい日々をつくり出していくための一歩となりえるチャンスでもあります。これからアワードに参加しようと考えている人に向けて、長田さんと市川さんから期待の言葉が投げかけられます。
長田:せっかくクラウドファンディングでなにかをつくれるなら、マスマーケティングじゃなくて、自分の生活や自分の気持ちの延長線上にあるもの、自分のほしいものや、友達にあったらいいなと思うものをつくれたらいいんじゃないかなって思います。私は寝たまま仕事ができるものがほしいな。この間ギックリ背中になってしまったから、寝転んで仕事ができたら楽だなって。
市川:それぞれの日常で感じるような課題に対して、なにかしらのアプローチができるようなアイデアが出てくるとおもしろいと思います。私はお風呂に入らなくてもお風呂に入ったような効果が得られるなにかがほしいです(笑)。お風呂って準備も入るのも結構時間がかかるから忙しいと疎かになりがちだけど、やっぱりお風呂に入らないと得られないリラックス効果ってあるじゃないですか。
長田さんと市川さんの今ほしいものは、それぞれとってもユニーク。でも決して難しい発想ではありません。生活のなかでなんとなく違和感があること、もっとこうだったらいいのになと思うこと……。
健康を見つめ直すことも、なにかをつくり出すことも、すべて自分と地続きでつながっているのです。自分やまわりの人たちを少し元気づけるためのアイデアとその種は、生活のそこかしこに転がっているはずです。毎日を健やかに生きるために、その種をあなたも探してみてください。
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