夢で音が聞こえる人は3割。人によって夢で使う五感が違う
—現実の感情と夢の相関、とても興味深いですね。夢の捉え方や覚えていやすさと同じように、夢のなかで使っている五感も人それぞれ違うのでしょうか?
松田:違いますね。ほとんどの人には視覚はありますけど、聴覚になるとかなりばらつきが出てきて。
吉澤:私は、聴覚は結構はっきりしているんですけど、どうなんでしょう。
松田:普通の人だと夢で聴覚があるのは3割くらいじゃないでしょうか。
吉澤:そうなんですか!? みんな聞こえると思っていました。
松田:人によって違うんです。ほとんどないのが嗅覚と味覚。でも、食品関係の仕事をしている人は味覚、香水販売の人とかだと嗅覚が出たりと、普段使っている感覚っていうのは夢でも現れやすいです。
りんご倉庫が火事!
でも、だんだんいい匂いがしてきて、
焼きリンゴがたくさんできる夢。#いつかの夢日記— えだまめ (@Kt373G1uKf5rhCW) 2019年1月31日
嗅覚を感じるレアな夢を見たえだまめさん。
吉澤:生まれつき目が見えない方はどういう夢を見るんですか?
松田:聴覚と触覚です。でも途中で失明した場合は視覚の夢を見ます。冒頭で言った、記憶の図書館に視覚情報が保存されていますから。聴覚障害がある人は、夢のなかで手話で話したりしていますね。
吉澤:なるほど。本当にぜんぶ記憶の図書館から出てくるんですね。
パジャマや香りで条件づけするのも◎。夢の専門家が教える、いい睡眠のとりかたとは?
—ここまでお話を伺ってきて、寝ている間に夢を見ているときはものすごく脳が動いているんだなと感じたのですが、しっかり休息がとれるいい眠りとはどういうものなのでしょうか?
松田:寝始めに深いノンレム睡眠を3時間くらいがっつり取れて、最初のレム睡眠が90~100分くらい、その後ノンレム睡眠とレム睡眠のサイクルが崩れずに、だんだんと眠りが浅くなって起きていくという睡眠がいい眠りだと思いますね。ウェアラブル活動量計で自分の睡眠の状態を手軽に測ることもできますよ。
—そのサイクルを崩さずに、いい睡眠をとるにはどうしたらいいんでしょう?
松田:とにかく寝る前の環境を整えることです。光の影響が大きいので、しっかりと暗くすることがまずはいちばん。朝起きたら曇り空だったとしても、外に出て光を浴びることが大切です。あとは、眠る環境を条件づけることも大事です。寝るためだけの部屋がある人は条件づけしやすいですね。テレビも置かず、スマホも持ち込まず、間接照明だけある部屋があれば、その部屋に入るだけで身体が眠るときだと認識してくれるので。
—なかなか寝室を眠るための場所として最適に整えることが難しい場合もあると思うのですが、その場合はどうしたらいいでしょうか?
松田:入浴やストレッチなど寝るまでのルーティンを決めたり、眠るときにこのパジャマとこの香り、というのを決めておくだけでも、十分条件づけになりますよ。お気に入りの柔軟剤やスプレーなどを使ってファブリックに香りをつけたりするのも、その条件づけとして非常に有効だと思います。
吉澤:香りをつけるだけでいいのであればすぐにできそうですね。やっぱり、寝る前にスマホを使うのは睡眠に悪影響なんですか?
松田:スマホやパソコンのブルーライトは眠りに悪影響なので避けたほうがいいですね。よく「横になっているだけでも疲れはとれますよ」って言うじゃないですか。じつは、眠れないけどベッドのなかでそのままじっとしているのが一番だめなんです。30分眠れなかったらベッドから一度でたほうがいいですね。
吉澤:ベッドに入って起きたままだと、ベッドでも眠らなくていいということを条件づけてしまうということですよね。ベッドに入ったら眠れるものと思わないといけない。
—適切に良い眠りのトリガーをたくさんつくって、睡眠が良くなれば、日中の生活も良くなるし、そうするとより良い夢が見られるということですね。
松田:はい。あともうひとつ、心配ごとはものすごく強烈なトリガーになって不安な夢が増幅されてくるので、ひとまず心配ごとの対処法を寝る前に考えるっていうことも大事です。でも、すぐに解決できない大きな問題ってありますよね。相手があることとか、結果がすごくあとになって出てくることとか、そういうものは一旦棚上げする。
「これはいいや、明後日やろう」とか「これはどうなるかわからないけど、命まで取られるわけじゃないからいいや」とか、逃げではなくて自分のなかで認めてあげて、棚上げできるっていうのは悪夢を見ないためにも大事ですよ。
—夢についてとても興味を持ってきた吉澤さんですが、夢の専門家のお話をうかがっていかがでしたか?
吉澤:ふだんから夢についてすごく考えているので、ぜひ松田先生とお会いしたいなと思っていたんですけど、こんなに夢について解明されていることがあったなんて、本当にびっくりしました。松田先生は夢というファンタジックにも捉えられるものをお仕事にされているけれど、すごく現実的なお話をしてくださってとてもおもしろかったです。夢日記と日記の照らし合わせ、さっそくやってみようと思いました。
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