M!DOR!がつくる、日常を生き延びる現実逃避としてのコラージュ

M!DOR!がつくる、日常を生き延びる現実逃避としてのコラージュ

1700~1950年代の紙素材で制作。想像力が自らを癒す

2019年7・8月 特集:やすみやすみ、やろう
インタビュー・テキスト:飯嶋藍子 撮影:M!DOR! 編集:野村由芽
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コラージュなら、ありえない生物がいる想像の世界にも行けてしまう。

女性のモチーフのほかにも、作品のなかには、M!DOR!さんが「住人」と呼ぶ、実在しない不思議な生物もよく登場します。

M!DOR!:自分のなかに潜んでいるものをコラージュで表現しているから、それらのモチーフを「住人」と呼ぶようになったんです。コラージュに現れるのは、私のなかにいる奇妙な住人たちっていう感覚です。なんか、「こんなのありえないでしょ」っていう生き物がいるような世界に住みたいんですよね。

コラージュってひとつの現実逃避だと思うんです。ありえない生物がいるような想像の世界にも行けてしまう。日常には「あの仕事の締め切りが!」「人間関係が……」みたいな差し迫った状況もたくさんあるけれど、それをちょっと忘れる瞬間がつくれたら。

あと、コラージュの素材探しをしていると、旅をしているような感覚にもなるんですよね。本に載っている昔の街やファッションの様子を見ていると、それだけで時代を超えてその世界に旅をしているような気持ちになります。

私だったら、ポーチに好きな紙モノを入れてさらにコラージュするかも(笑)。

「現実逃避」と聞くと、ちょっぴり後ろめたかったり、ネガティブな印象を持つ人も少なくないでしょう。でもM!DOR!さんが言うように、ときには現実を少し遠くへ置いておくことも、日常を生き延びるためには必要なこと。She isとつくった「YuRa YuRa Pouch」にも、そんなM!DOR!さんの「やすむ」ことへの願いがぎゅっとコラージュされています。

M!DOR!:テーマが「やすむ」だったので、モチーフは「心が和らぐものがいいな」と思ったんですけど、普通のポーチの形状だとおもしろくないなと。それで思いついたのが、1900年代前半くらいに流行ったという箱型のおもちゃ。箱に空いている穴を覗くと、中に何枚も絵の層があって、奥行きがあるように見えるんです。そこから着想して、ポーチの仕切りによって奥行きがでるものをつくりました。

「YuRa YuRa Pouch」(She is のギフトページを見る

ポケットが3つ重なったポーチ。印刷面がくっつかないようにチュールを使ったところ、「結果的に幻想的な感じになりました」とM!DOR!さんも満足の様子。やはりこのポーチも、M!DOR!さんの作風にならった、女の子のモチーフが印象的です。

M!DOR!:この女の子が「海の中にある街」へみんなを案内してくれるイメージです。この子は、日常に疲れているみんなを「やすみにようこそ」って迎え入れてくれる。女の子が迎え入れてくれた世界の先は深海になっていて、最後には惑星もぷかぷか浮かせました。

このポーチをしのばせることで、頑張りすぎてしまっているときに、ちょっとでも心をゆるめてもらえたら嬉しいですね。忙しいときはどうしてもいろんなことを考えて頭もガチガチになってしまうけど、こういうものを見てちょっと体の力を抜いて、ふわっと漂えるような感覚になってもらえたらいいなと思っています。

さらにM!DOR!さんならではの使い方も教えてくれました。

M!DOR!:私だったら、好きな紙モノを入れてさらにコラージュするかも(笑)。日本ってまだコラージュ自体がそこまで広まっていないように思うんです。でも、好きな色の折り紙をちぎって貼るだけでも「コラージュ」になる。コラージュという手法自体をもっと知ってもらえたら嬉しいですし、誰でもできるので、アナログなものづくりを楽しむ簡単な手法としてオススメですよ。

「YuRa YuRa Pouch」に好きな紙モノを入れてさらにコラージュ

好きなものやピンときたものを集めてひとつの世界をつくることで、自分だけの心やすまる時間が生まれそう。M!DOR!さんのように普段とは違う速度のなかで呼吸をして、ほんの少しだけ現実逃避できたら、いつもなにかでいっぱいになっている心に、やさしい余白をつくれるかもしれません。

ポーチが入っている8月のギフト「やすみやすみ、やろう」のページはこちら(お申込みは8/31まで)

【後編】コラージュ作家M!DOR!が愛する、アナログや古いモノがくれる奇跡

PROFILE

M!DOR!
M!DOR!

コラージュアーティスト / グラフィックデザイナー。
個展で作品を発表するほか、GLAYのツアーパンフレット、ルミネ、新宿NEWoManのウィンドウディスプレイ、講談社 山内マリコ「かわいい結婚」、国書刊行会 L.P.Davis「虚構の男」の装画、VOGUE JAPAN、装苑、GINZAなどの誌面、テキスタイルデザインやCDジャケットなど制作し、活動の幅を広げている。

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立ち込めたその雲は、いつの日かかならず晴れわたる