自分で考えて「いい」と思ったことを選び取る。その行為は素敵なこと。
─アンジュルムの笠原桃奈さんが、ファンの方々から赤いリップの色を指摘されて薄いピンク色に変えた際、和田さんはライブでファンの方々を前に「桃奈にはまた、好きなリップの色を塗ってほしい」と発言されていたのを思い出しました。
和田:私は、「自然な色」ではないということや、「アイドルだから」という理由でリップの色を変えたくても変えられないことがあったから、同じように苦しい思いや悲しい思いをメンバーにさせたくないと思ったんです。自分で考えて「いい」と思ったことを選び取る。その行為が素敵なことだと思うから、似合っている/似合っていないはつけてから自分で判断するとして、行為を制限してしまうのは違うなって思ったので、あのときは言いました。
─現状のアイドルの幸せな部分も知っていながら、疑問や違和感も感じていらしたんですね。アイドルをやめるという選択肢もあった中で、あえてアイドルのまま、その姿をアップデートしていこうと思われたのはどうしてですか?
和田:これだけアイドルに対していろんな疑問を持っているにもかかわらず、私が「アイドル」という枠から抜けてしまったら、それらが改善されないままになってしまいますよね。今まで15年間アイドルだったからこそ生まれた疑問を持って行動に移せれば説得力もあるんじゃないかなって。
10代のアイドルの子たちが、いつか私と同じような疑問を持ったときに、他の選択肢がないままでは、アイドルとして生き続ける道が絶たれてしまいます。それに、そもそも違和感って苦しいじゃないですか。みんなの可能性を広げられたら嬉しいし、そもそもそういう苦しさを女の子が感じない世界であってほしいです。
きちんと自分の頭で考えなきゃいけないし、考える機会がもっと増えたらいい。
─和田さんが、女の子が苦しさを感じない世界でいてほしいと願い、動かれているように、女性アイドルは女の人にとっても与える影響が大きいですよね。
和田:だからこそ、アイドル自身ももっと、自分がどういう立場でどういう風に見られているのか、きちんと自分の頭で考えなきゃいけないですよね。考える機会がもっと増えたらいいと思うし、こういうあり方でいたいと願ったときに、周りの人もそれを可能にするサポートをしてほしいなと思います。そのときに、いちばん輝ける表現ができるんじゃないかな。
アンジュルムはメンバーの個性が強いグループなので、ファンの方も個人の判断を肯定してくれる人が多くて、それは本当に温かかったです。あとは、握手会に韓国からファンの方がめちゃくちゃ来てくださるんですけど、そうすると「あやちょの、その生き方が好き」って言ってくれることが多くて。日々落ち込むこともあるし、葛藤はパワーに変えるタイプではあるけど、そういう言葉を聞くと、国境を越えて届いているんだな……って心強くなります。