日々の出来事にゆれ動く心や、そのときどきにうつろってゆく身体。強さとは、ぶれず傷つかないタフさを持つことのように感じたりもするけれど、柔らかいものほど折れにくいように、ざわめき、たゆたう感覚を保ったままだからこそ得られる、しなやかな強度がきっとあるはず。
今回She isでは、敏感肌研究から生まれたスキンケアブランド・freeplusがおくる「freeplus YELL project 2020」とコラボレーション。敏感な感受性を肯定し、一歩先へ踏みだそうとする人の背中を優しく押すこのキャンペーンと連動し、柔らかな感覚を持ってそれぞれの道を歩む3名の女性にインタビューを行います。
お話を伺ったのは、自身が信じるアイドルのあり方を体現するため、新たなフィールドへ軽やかに駆けだしている元アンジュルムリーダーの和田彩花さん。さまざまな葛藤を抱えながらも、自分らしい未来をつかもうとしている和田さんは、どのようにその勇敢さを得てきたのでしょうか。ゆらぎながらも、未来を見据えて新しい一歩を踏み出す和田さんの姿に迫りました。
<もくじ>
p1…和田彩花さんのこれまでの葛藤と、これからの一歩
p2…自分の人生を前に進めるための、和田彩花さんの心、肌、態度の保ち方
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和田彩花さんのこれまでの葛藤と、これからの一歩「自分が感じていた生きづらさは共通することなのかもしれない」
─和田さんは去年15歳から25歳まで続けていたアンジュルムを離れ、アイドルとしての生き方の選択肢を広げるために、ソロとしてアイドル活動をするという大きな決断をされました。自分で選んだ道を進むことは、誰かのせいにできないぶん勇気がいると思うなかで、どうやってその勇気を出せたのですか?
和田:グループの中でのアイドル像について違和感があるなと感じていました。ただ、自分自身がアイドルをやりながらその違和感を口に出すことってなかなか難しいことなんですよね。
だけど、私は運良く美術が好きで、美術を通していろいろな分野の問題に触れていたので、違和感を言葉にする方法を学んでいました。だから自分がその思いを表明して、アイドルの生き方の選択肢を広げなければと、ちょっとした使命感のようなものを感じたんです。
─思いを正直に伝えたとき、どんな反応がありましたか?
和田:自分の思いを少しずつ言葉にしていたら、その言葉を聞いてくれて、前向きに応えてくれるファンの方がいてくださったんです。日本だけじゃなくて、海外からも反応がありました。自分が感じていた生きづらさは、共通することなのかもしれないって気づいてからは、前向きになれました。
─和田さんは、自分や誰かが発する「言葉」を大切にしているし、言葉に対してすごく繊細な感覚を持っている方だと感じます。
和田:発言するときは、「これを自分が言われたらどういう気持ちになるだろう?」と自分に置き換えてみたりしながら、よく考えて言葉を選ぶようになるべく気をつけています。それでも間違ってしまうこともあるんですけどね……。勉強の繰り返しです。
─自分の考えていることと、他の人が考えていることにズレがある状況はたびたびありますよね。「言いたいけど言えない」という経験をしたことがある人は多いと思います。
和田:私も、ステージ上であれば言えてしまうことも、普段の会話のなかではなかなか言えずに黙ってしまうことも多くて、悔しいです。どうしても相手との関係性が崩れるかもしれない……と不安になってしまうこともありますしね。だけど、自分が思っていることと、相手の考えていることがたとえ真逆であったとしても、どうにか向き合う方法があるんじゃないかと最近は思っています。
言葉にしたいけれど言葉にできないこともたくさんありますよ。知識が足りなくて、思考が追いつかなかったり。そういうときは、なるべく日常的な言葉を使って考えつつ、当てはまりそうな記事を読んだり、みんながどういう言葉で消化しているかを知るためにTwitterで探ってみたりしながら、「これだ!」って腑に落ちる言葉を見つけています。
─ソロになってからの新しい一歩のひとつに、作詞がありますね。
和田:「これだけ伝えたいことがあるんだから、とりあえずやってみなよ!」と言われて、勢いで始めた部分もあるんですけど(笑)、すごく楽しいです。普段音楽を聴いているなかで、「これはちょっと違うんじゃないかな?」って自分なりに思うことがこれまでにあったので、そういう面を自分が作詞するときに意識して反映するようにしています。
和田:一方で歌詞って、言葉だけじゃなくてメロディーがあって、曲全体としての世界観をみんなで共有するものだから、言葉だけで発信していくこととはまた違っていて。メッセージとしては、意外とストレートに伝わっていかないところが、逆にいいなあと思ったりしています。
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