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38か国を旅したデザイナー小林圭。「かわいい」を見つける旅の目線

38か国を旅したデザイナー小林圭。「かわいい」を見つける旅の目線

アメリのようなアパルトマンで過ごした欧州旅行の話

2020年3・4月 特集:どこで生きる?
インタビュー・テキスト:飯嶋藍子 撮影:小林真梨子 編集:竹中万季
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旅しているときはとくに「今人生でいちばん幸せだな」って思いながらずっと過ごしていて。

街に対するイメージがいい意味で変わった小林さん。通り過ぎるようにコミュニケーションするだけじゃわからない部分が、短い間であったとしても暮らすことでどんどん見えてきたそうです。

小林:ちょうど私がパリにいるときに、すごく大きいデモがあって交通機関が全然動いてなかったんです。日本だったらイライラしてしまう人も多いシチュエーションだけど、バス停にいたおばあちゃん同士が「全然バス来ないね」「クッキーあるけど食べる?」みたいな会話をしていて、「これが当たり前だから別にイライラしてもしょうがないよね」ってスタンスだったんですよね。

それを見て私も「そういうもんなのかな? じゃあクッキーもらうね」みたいな(笑)。日本だったらイライラして当然、みたいな凝り固まってしまっていた考えが、久しぶりにぱーっと晴れた感じがしました。だからこそ、逆に日本では「わー、時間通りに電車が来てすっごく嬉しい!」ってなったり、日本での暮らしに対しての感謝もより感じるようになって。

小林さんは、そんなふうにパリの街を感じながら、週末には2泊ほどほかのヨーロッパの国々も訪れていました。今回ギフトとしてつくったポーチにあしらわれているのは、そんな小旅行で訪れたストックホルムの古着屋さんで撮った写真です。

小林:ストックホルムで行った古着屋さんの写真なんですけど、天井にすごくいろんな種類の造花がぎっしり差さっていて、それがわあっと階段の下まで続いていて。夢みたいですごくきれいだったんですよ。生活しているときもそうですけど、旅しているときはとくに「今人生でいちばん幸せだな」って思いながらずっと過ごしていて。そういう幸せな気分と、生花よりもあえて彩度が高かったり、いろんな色に富んでいて絶対枯れない造花が、私の感情とすごくマッチしていると思ったんです。

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Second hand shop in Stockholm🌷🥀💐 ストックホルムにはたくさんのセカンドハンドショップやリサイクルショップがあって、日本のイメージするちょっとダサい?というかリサイクルショップ独特の雰囲気?が全くない。(あれはあれで私は好きなんですが。お宝探すぞ〜!ディグるぞ〜!って気持ちに逆になる。) 客層はおばあちゃんから若いオシャレな人など幅広く、商品は見やすく素敵にディスプレイされいて、良いものを長くみんなで使うことは素敵なこと、というのが気取らず意識せずできるんだな〜としみじみ思った。

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ストックホルムの古着屋さんの造花が敷き詰められた天井

ギフトでお届けする「Bag in bag in bag」の一番大きいサイズの袋にその写真が使われています。

「この写真は今回のヨーロッパの旅を表したすごく象徴的な写真です」と話す小林さん。旅行に行くときに小分けにパッキングした衣類をまとめてこの袋に入れ、スーツケースにおさめると、「スーツケースを開けたときに花畑が広がっているように見えますよ」とオススメの使い方を教えてくれました。旅の最中、小林さんの心にもずっとお花が咲いているような感覚だったそうで、そんな鮮やかな思いがかたちになっています。

小林:旅に出るといつもそんな気分なんです。私、飛行機がすごく好きなんですけど、物理的に地球から離れることにわくわくするんですよね。窓から外を眺めて「東京めっちゃ小さいじゃん!」みたいな(笑)。飛行機の窓から見える風景では本当に小さく見えるビルのなかの小さなデスクで「この仕事どうしよう」ってさっきまで考えてたなって思うと、一度自分がリセットされて、「今まで小さいこと考えてたのがバカみたい」っていろんなことに対して寛大になれるんですよね。着陸するとそこはもう自分が歩いたこともない街が広がっていて。旅をするなかで、そういうわくわく感がとっても好きなんです。

スーツケースのサイズに合わせてつくられているので、ばらばらになりやすい小袋も、この袋にまとめていれれば、スーツケースから落ちることもなく使い勝手も抜群。

メッシュの袋は洋服など布製品、ビニールの袋は小物などをいれて。

非日常の中で長く過ごすことで、自分とも向き合う時間ができるからか、自分のことをしっかり考えられるようにもなる。

暮らすように旅をしたいという気持ちから、1か月パリに滞在することを決めた小林さん。その暮らしが日常になるような感覚というよりかは、「非日常感を味わいたいという気持ちが強いです」と続けます。

小林:今までの自分の日常と完璧に切り離された、誰も自分のことを知らないところへ行って、毎日なにが起きるかわからない非日常を味わいたくて。そのわくわくをずっと感じていたいから、長くパリに滞在したいなと思ったんです。それが感じられるとインプットも多いし、日本に帰ってきてからのアウトプットも変わるんですよね。

あと、非日常の中で長く過ごすことで、自分とも向き合う時間ができるからか、自分のことをしっかり考えられるようにもなって。「私、やっぱりこれ好きだな」って再確認できたり、逆に今まで触れられなかったものや価値観に出会うと「自分ってこんな小さな枠のなかで考えたり悩んでたりしてたんだな」って、いろんなものがリセットされる感覚があります。

小林さんは「旅をしていると、自分もそうしたいなと思うような人を見ることが多くて」と続けます。

小林:パリは自分を楽しませることが上手な人たちが多かった印象があって。ファッションも食べ物も、自分が望むものをちゃんと手に入れている感じがしたんですよね。発展途上国のような貧富の差があるような国に行ったときには、貧しかったとしても幸せそうに生きている人がたくさんいて。屋台のおばちゃんが「40年ここでフォーをつくってるけど、旦那とずっと一緒にこの仕事をやれて、いろんな人に会えてとっても幸せ」って言っていたんです。そうやって、その土地と生きていくって決めた人たちもすごく素敵に見えました。

PROFILE

小林 圭
小林 圭

2006年渡英。2010年にロンドン芸術大学
セントラル・セント・マーチンズ卒業。
卒業後はロンドンとイタリアでデザイナーとして働いた後、12年に帰国。
アートディレクター/グラフィックデザイナーとして自身の世界観をベースに分野にとらわれる事なく作品を展開。趣味は旅行で今まで訪れた国は現在で38カ国。
ロンドン留学中にテキスタイルデザイナー・井口愛弓とotome journal と名して交換日記を始める。現在はアートユニットotome journalとして平面から空間、広告まで幅広く手掛ける。

INFORMATION

プロジェクト情報
OYOME journal by OTOME journal.

otome journal二人が花嫁になったことで始まったプロジェクト。otome journal公式Instagramアカウントにて少しずつ公開していくそう。

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