たとえ周りに仲間がいなくても、好きなものをずっと好きだと思い続ける気持ちがすごく強いんです。(Yurina Lily)
─誰かに届けたいと思うくらい、とっておきの好きな場所や、人や、ものが一つでもあることって、すごく幸福にしてくれますよね。
澄礼:私はレコードや本をすごく愛していて、引っ越しでひいひい言うほどの物量なんですけど、アナログな感触があって、かつて誰かが愛したものが自分の側にあることに魅力を感じていて。そういうものから新しいアイデアのヒントを見つけ出すこともあるし、人によっては見逃してしまうような些細なことであっても貪欲になって突き詰めていくと、自分がずっと好きだと思えるものがどんどん決まっていくんじゃないかなと思っています。
Yurina:多分澄礼さんも来夢ちゃんも同じタイプだと思うんですけど、私はちょっとでも好きだと思ったら突き詰めて調べる方で。
来夢:私もそう。すごく調べちゃう。
Yurina:たとえ周りに仲間がいなくても、好きなものをずっと好きだと思い続ける気持ちがすごく強いんです。私はまだ自分が好きなものを極めているとまでは言えないと思っているんですけど、人の写真を撮ることがすごく好きですし、それがようやく仕事になって、人に見てもらえるようになって、本当によかったなと思っていて。好きなことが仕事になると、大変なときもありますけど、すごく幸せなことです。
来夢:私は人形がめちゃくちゃ好きなんです。初めてSNSで初音ミクの人形を見てから超かわいいと思ってて、ずっと調べているうちに我慢できなくなって。一体買ったら、沼にはまるかのように好きになりました。だけど、周りには人形を好きな人が一人もいなくて。私が好きな人形は買い方が難しかったり、限定物も多かったりするので、買い方や、お人形にメイクをする方法も、たくさん調べました。周りに聞ける人もいないし。これからは自分でも人形をつくれたらいいなと思っています。いっぱい買っているとお金がなくなっちゃうからなんですけど。(笑)
来夢さんの持っている人形コレクション
澄礼:DIY精神があるところは私と同じですね(笑)。「ギーク」とか「ナード」とか、いろんな言い方がありますけど、マニアックであることは素敵なことなんだっていう感覚が私たちには共通しているかもしれません。「おたく」ってネガティブなワードとして使われることも多いかもしれないですけど、何かを究極に愛しているという意味ではすごくポジティブなワードだと思います。私は友達にも、何かのマニアである人がすごく多くて。同じくらいの熱量で何かに夢中になっている人たちとは、世界観をお互いにただ共有しあうだけで、通じあうことができるし、周りの人も巻き込んでさらに輪が広がっていくなと思います。
一人ではアイデアや発信力にも限界があるし、一緒にやったら面白いと思える仲間をつくると、より一層強力になれる感じがします。(澄礼)
─澄礼さんはご自身の活動において周囲の人を巻き込むことを積極的に行われていますよね。
澄礼:一人ではアイデアや発信力にも限界があるし、一緒にやったら面白いと思える仲間をつくると、より一層強力になれる感じがします。十代の頃からDJチームをやっていたのも、根本にそういうことを感じていたからかもしれないです。でも、高校時代は友達も全然いなくて、部活もちゃんとやっていなかったし、大学でもサークルに入ったりしていなかったから、グループ行動が得意かと言われたら苦手かもしれないですけど(笑)。
─自分にとって大切なものを共有しあうことでつながっている人とは、無理して合わせるようなことが少ないからかもしれないですね。
澄礼:うん、嘘がない関係でいられるなと思います。
─Yurinaさんも「MISS YOU UK」では、「誰かを撮る」という意味で、毎回人と関わりながらものづくりをされていますね。
Yurina:「MISS YOU UK」で撮らせてもらっている子たちは、同志みたいな存在です。いつもヘアメイクさんやスタイリストさんを入れずに撮影しているので、メイクもセルフだし、服もモデルの子に持ってきてもらって、一緒にスタイリングを組んだりしますし、いちから一緒にものづくりをしているような感覚なんです。本をつくるうえではデザインとかの面でも、手伝ってくれている子たちがいるからこそできあがっているので、共につくってくれる人たちの存在は、すごくありがたいです。
─そうしたスタイルで撮られているのはなぜですか?
Yurina:私は、完璧じゃない写真が好きなんです。寝癖で髪の毛がちょっとはねていたり、服の襟が立っていたりするような、ちょっと荒削りな部分に人間の愛嬌があると思っていて。そういうところに一人ひとりの個性が出ると思うんです。それにちょっと隙がある不完全な写真の方が、見た人にも想像する余地がある。もちろん、メイクやスタイリングのプロの方が入る素晴らしい撮影にも感動があるんですけど、「MISS YOU UK」ではちょっと違う面白さが残せるといいなといつも思っています。