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長田杏奈×杉田ぱん×アクロストンみさと 怒って楽しく取り戻す私の身体の権利

長田杏奈×杉田ぱん×アクロストンみさと 怒って楽しく取り戻す私の身体の権利

性教育、クィア、フェミニズム。各領域から身体を語る

SPONSORED:ネスレ日本
インタビュー・テキスト:松井友里 インタビュー・編集:野村由芽
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自分を大切にすること、多様性、ジェンダー、セクシュアリティ。それらについてもっと一緒に考えたい

杉田:聞く話で言うと、この前、韓国のフェミニストでクィアな人が主催するオンラインのイベントに参加したら、その人が普通に喋っているだけなのに、すごく泣けてきちゃって。私が私のままで何かを喋っても、否定されないはずだという、感じたことのない安心感がありました。それと同時に、私は日本で生きてきて、ずっとそんな風に感じたことがなかったんだと気づいちゃったんですよね。そのことに気づけて嬉しかったけど、安心できる場をつくらなきゃと感じた体験でした。

長田:「海外に行けば楽かもしれないけど、日本でいまの状況を変えていきたい」とぱんちゃんは前に言っていたよね。

杉田:日本の感覚が合わずに、海外に留学したり、移住した友達はすごく多くて。そのたびに「私も行きたい」って言いながらも、どこかで「ここで生きたいんだよな」っていう気持ちがありました。それに「なんで私が出て行かなきゃいけないの?」っていう怒りもあるし。

長田:私はメディアの側にいるから、すごく責任を感じています。次第に変わってきているけど、世の中のコンテンツではまだまだ、あたかもシスジェンダー(生まれたときに割り当てられた性別と性同一性が一致していること)でヘテロセクシャル(異性愛)、他者に対して恋愛感情や性的欲求を抱く人しか存在しないような文脈がまかり通っている。マジョリティ向けだからみたいな甘えが、想像力のなさや誰かの息苦しさを助長しているような気がして。痩せていて、若くて、二重で、色白で、みたいな架空の人物像が強固過ぎることも女性にとっていいこととは思えないし……。

特に、『エトセトラ VOL.3』で1334人の生声に触れてから、これまで通り雑誌の仕事をすると、苦しく感じることがあります。自分を大切にすること、多様性、ジェンダーやセクシュアリティについて、タイトルや見出しで謳うメディアが増えただけでも進歩だなとは思うけど。もう少し、中身を疑って考え抜いたり、一過性ではなく今後に繋げる余地があるんじゃないかなと思って。

ご意見番や炎上を防ぐためのリトマス試験紙役にされると、ひとりぼっちになって疲弊しちゃうから、一緒に考えて悩んで、むしろ私にダメ出ししてくれるような人と一緒に仕事ができたら良いなとすごく思います。

価値観がアップデートされる新しいワードがほしい

―長田さんが『エトセトラ』の「はじめに」で「平時に女性の身体にまつわる問題の解決を先送りにしたがるメンは、緊急時はより露骨になるものだ」と書かれていましたが、いまコロナの状況下において、個人の尊厳や、弱い立場に置かれている人がないがしろにされていると感じることがすごく多くて。

こうした状況下で自己責任論が振りかざされたり、「自分だけが勝ち抜こう」というようなあり方をSNSなどで目にすると、すごくやりきれない気持ちになります。

長田:「勝ち組」「負け組」みたいな古い言葉と価値観がインストールされたままの人たちをアップデートするような、インパクトのある新しいワードがほしいですよね。「多様性」ってワンクッションある言葉だから。脳に直電かけるような言葉で置き換えたい。

みさと:小さい頃から「これが正解」と教えられて生きてきたら、その正解に近い生き方をしている人が「勝ち」だし、正解にたどり着けなかった人は、ほかのことで勝たなきゃいけないと思う状況に陥りやすいですよね。子ども時代に「あなたはあなたのままでいい」と安心して暮らすことができていたら、勝ち負けだけを意識することはなくなると思うんですけどね。新しいワードということでいうと、ぱんさんが言っている「楽しい」は、すごく良いなと思います。

杉田:私は、「楽しい」って人生に起こったすべてを受け入れることだと思っているんです。悲しみや怒りも含めて、自分の身体や脳みそ全部を使って、やりきっていることにすがすがしさがあって。そういう楽しさをもうちょっと世の中とシェアできたら良いなと思います。

でも、「ぱんちゃんにはできるけど私にはできないよ」ってときどき言われるんですよね。「なんで? できるよ!」って思うんだけど、そう言わせちゃう何かがあるんだろうなと、悲しくなります。楽しいことはいいことだと思うのですが、日本では自己肯定感を持っているといじめられるっていうとんでもない状況がありますから、そこからなんとかしたいですよね。

みさと:「自己肯定感を伸ばそう」って子育てでもよく言われるけど、私はしっくりこなくて。自尊心や自己肯定感って、人がもともと持っているもので、それが邪魔されない環境で育ってこられたら良いけど、大体の人はどこかでどんどん削られちゃうんですよね。だから子どもたちに対しては、それを削らないような社会をつくっていかなきゃいけないなと思うんです。大人も自分が削られていることに気づいたら頑張ってほしいし、「まずは杏奈さんの本を読もう!」と言いたいです。

“『エトセトラ VOL.3』より長田杏奈「はじめに」を公開します”の冒頭。「今の自分にできることはやっているつもりだけど、大きな仕組みを変えるのは時間もかかるし、自分の寿命じゃ間に合わない部分も多いなって悩む。だから、次の世代にバトンをつないでいかなきゃいけないと思っていて、今回の『エトセトラVOL.3』にもそういう気持ちを込めているんだ。おーいみんな~! 知ってる~!?って」

庭の椅子で、バラとともに

PROFILE

長田杏奈
長田杏奈

ライター。美容をメインに、インタビューや海外セレブなどの記事を手がける。趣味は花鳥風月。モットーは「美容は自尊心の筋トレ」。

杉田ぱん
杉田ぱん

1994年6月生まれのフェミニスト。高円寺の古着屋で5年間勤務をしたのち2019年春よりフェミニスト目線で世界中からセクシュアルウェルネスにまつわる商品をセレクトする「LOVE PIECE CLUB」へ転職。

アクロストン・みさと
アクロストン・みさと

産業医として働きつつ、夫とともに性教育を広げる「アクロストン」としての活動を2018年にスタート。公立小学校、フリースクールでの授業や、企業イベントなど、日本各地で性やカラダにまつわるワークショップを行う。著書に「赤ちゃんってどうやってできるの?いま、子どもに伝えたい性のQ&A」(主婦の友社)
noteにて性やカラダのはなしを発信中

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