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被害者でも加害者でもある可能性を忘れない。小林エリカに聞く自分らしさ

被害者でも加害者でもある可能性を忘れない。小林エリカに聞く自分らしさ

歴史と個人を接続する作家に聞く自分らしさ

2020年9〜12月 特集:自分らしく?
テキスト・イラスト:小林エリカ 編集:野村由芽
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空爆の日に、他人の家に泊まり、セックスもなく、ただ夢を見て日記を記す。2001年9月11日のアメリカにて同時多発テロ発生、同年10月8日、アフガニスタンへの空爆開始。そんななかで、23歳のひとりの女性がいま遠い場所で起きている「殺戮」を忘れないために、いまここでおなじ時を生きているひとりひとりの「日常」を記録する風変わりなレジスタンスを綴った『空爆の日に会いましょう』(2002年)。そのプロジェクトの発起人であり、著者である小林エリカさんは、その後も、史実とフィクションで放射能の歴史を紐解く『光の子ども』(2013年~)を発表するなど、戦争の記録と記憶をたどり、それを現在に接続し、加害者でも被害者でもあるわたしたちの姿や光を描いている人です。

そんな小林エリカさんに、個人はどこからきてどこへ行くのか? その一瞬の現在地としての「自分」を見つめる機会になればと願いを込めている特集「自分らしく?」のメインビジュアルにイラストを寄せていただき、「歴史を見つめながら自分自身でいること」にまつわるメールインタビューをおこないました。

どこまで自分の心にまっすぐ向き合い、生きたり行動できるかな

・特集「自分らしく?」のテーマをどのように解釈しましたか?

自分らしく、ということを考えたとき、どこまで自分の心にまっすぐ向き合い、生きたり行動できるかな、ということを考えました。

どんなときにも最終的には、自分自身の心に、ハートに、声に、耳をすませて

・作品に込めた思い、考え方は?

他の人から、社会からどう見られるかが気になったり、だれかのためとか、だれかが喜ぶかも、とか考えて行動しまうことが、私はすごく多いです。
でも、どんなときにも最終的には、自分自身の心に、ハートに、声に、耳をすませて、そこに誠実でありたいと思っています。

She is 10月特集「自分らしく?」に寄せて小林エリカさんが描いた作品

私があなたで、あなたが私である可能性をいつも忘れずにいたいと、私はいつも思っています

・小林エリカさまは「戦争」をテーマに執筆されることが多くありますが、戦争における被害と加害の歴史を学ばれるうえで、ひとりの人が被害者でもあり加害者でもありえるなかで、ひとりひとりが「自分らしさ」を守るにはどうしたらいいと考えますか?(誰もが自分らしくあるという状態は、他者から加害されないことだと個人的に仮定している部分があるのですが、同時に誰もが被害者にも加害者にもいつでもなり得ると感じるなかで、ではどうしたら「自分らしさ」が衝突せずに保たれるのか? と考えており、この質問をさせていただきました)

自分の心にまっすぐ向き合うと同時に、私があなたで、あなたが私である可能性をいつも忘れずにいたいと、私はいつも思っています。いま、この場所に、こうして生きる私が私であることは本当にただの偶然でしかなくて、私が戦場に生きている私であったかもしれないし、私が被害者であるかもしれない、私が加害者であるかもしれない、そのことをいつも心に留めたいです。

『光の子ども3』(リトルモア)

もう死んでしまった祖母ともうなくなってしまった祖母の家に一緒に暮らしていたときのことをよく夢に見ます

・最近はどんな夢をみていますか?(個人的なレジスタンスとしての『空爆の日に会いましょう』から連想して、誰にもじゃまされない夢について質問したいと考えています)

もう死んでしまった祖母ともうなくなってしまった祖母の家に一緒に暮らしていたときのことをよく夢に見ます。
でも別にロマンチックでもセンチメンタルでもなくて、夢の中の私は、あ~はやく一人暮らししたい~みたいに思っていたりします。

『空爆の日に会いましょう』(マガジンハウス)

PROFILE

小林エリカ
小林エリカ

作家、マンガ家。小説『トリニティ、トリニティ、トリニティ』(集英社)で第7回鉄犬ヘテロトピア文学賞受賞。小説『マダム・キュリーと朝食を』(集英社)で第27回三島由紀夫賞候補、第151回芥川龍之介賞候補。他には"放射能"の歴史を巡るコミック『光の子ども1-3』(リトルモア)、アンネ・フランクと実父の日記をモチーフにした『親愛なるキティーたちへ』(リトルモア)など。展示は個展に『His Last Bow』(Yamamoto Keiko Rochaix、ロンドン)『野鳥の森 1F』(Yutaka Kikutake Gallery、東京)、グループ展に『話しているのは誰?現代美術に潜む文学』(国立新美術館、東京)他。

INFORMATION

書籍情報
書籍情報
『トリニティ、トリニティ、トリニティ』

著者:小林エリカ
価格:1,870円(税込)
発行:集英社
祖母、母、娘と核の歴史を巡る小説『トリニティ、トリニティ、トリニティ』(集英社)発売中。

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