日本で女性首相が生まれるには?女性リーダーがいる国と比べて考察

カマラ・ハリス次期アメリカ副大統領の勝利演説から考える

連載:わたしたちのコトバで、政治を語る。
テキスト:NO YOUTH NO JAPAN(宮坂奈津)  編集:竹中万季
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Instagramを中心にU30世代に向けて政治や社会の情報を発信するNO YOUTH NO JAPANの連載。さまざまな女性たちに政治へのかかわり方を伺うインタビューや、代表の能條桃子さんが政治を語るためのきっかけを綴るコラムをお届け。政治を語るコトバを持つということは、それぞれが自分の想いに気づくということ。政治を語るわたしたちのコトバは、わたしたち一人ひとりが生きたい社会に繋がっていくはず。

女性がリーダーになれる社会をつくるには、どんなコトバが必要?

NO YOUTH NO JAPAN(以下、NYNJ)の連載「わたしたちのコトバで、政治を語る」。第3回目の今回は、NYNJのメンバーで座談会を開きました。集まった数人がある動画を見ながら何やら話し込んでいます。メンバーの共通点は「政治の世界において女性のリーダーがいる国に住んだ経験のある人」。見ていた動画は先日行われたアメリカ大統領選挙で初の女性副大統領に選ばれたカマラ・ハリスさんの勝利演説です。女性が政治の舞台でリーダーになるということは、何を意味するのか。女性がリーダーになれる社会をつくるにはどんなコトバが必要なのか、考えてみました。

<座談会メンバープロフィール>

左上から、もも、よっしー、なつ、りゅうた、あかり

よっしー:座談会のファシリテーター。大学3年生。アメリカに在住経験あり。
あかり:ニュージーランド在住の高校2年生。アーダーン首相のリーダーシップを現地で実感。
りゅうた:NYNJのデザイナーのひとりで大学2年生。ドイツに留学経験があり、メルケル首相の存在の大きさを肌で体感。
もも:NYNJ代表。大学4年生。デンマークに留学経験があり、日本で女性の政治家が少ない現状に強い問題意識を持っている。

カマラ・ハリス次期アメリカ副大統領の勝利演説を見て、みんなはどう思った?

BBC News Japanのサイトでカマラ・ハリス次期アメリカ副大統領の勝利演説を視聴。

よっしー:みなさん、この動画を見て、どう思いましたか?

あかり:アメリカが真っ二つに分断されている状況の中で、女性が副大統領になったということにはすごく希望を感じました。

りゅうた:女性参政権の問題は歴史的なものですよね。ドイツに留学していたので女性首相がいるというのが当たり前の状況を見てきたんですが、4年前にヒラリー・クリントンさんがアメリカ大統領選挙に立候補して負けたのを見て、どこかで女性の政治進出は世界的にも実現しきっていないものなのかもしれないと思っていました。でもこの演説を見て、それは少しずつ実現できるものなのかもしれないと思えました。

よっしー:わかりやすいですよね。自分が小さな子供だったら、「希望」とか「未来」とかそういうことを言ってくれる人がいた方が、自分も政治に参加するひとりとしてその言葉に対する意識が植えつけられる気がします。

もも:私も見てました。とてもパワフルなスピーチで、アメリカに住んでいる人たちだけじゃなくて他の国でも勇気付けられた人はたくさんいると思います。日本でも早くそういう光景が出てくればいいなって思うよね。特に印象的だったのは、自分が女性副大統領として「最初」ということを強調するのではなく、「次の」女の子たちに向けて話をしていたこと。日本だとどうして「女性初」になれたのか、という話になりがちだけど、そこの違いが印象深かったです。

ニュージーランド、アメリカ、ドイツ。世界の国々ではどうやって女性が政治に参加するようになってきた?

よっしー:政治家が次の世代を考えて演説しているかどうかは国によって違いがありそうですね。みなさんは女性首相がいる国に住んでいた経験があると思いますが、そもそも世界の国々ではどうやって女性が政治に参加するようになってきたのでしょうか。

あかり:ニュージーランドは早かったです。1893年には女性が参政権を獲得しています。ケイト・シェパードさんという人がその時の運動のリーダーでした。ニュージーランドの子どもたちは彼女のことを小学校の頃に教わるんです。

ニュージーランドでは1892年にケイト・シェパードが率いた「カンタベリー女性協会」が設立。男性、女性、両者に開かれ、男女間の不平等を減らすために活動していた。(Published in the New Zealand Graphic, 16 May 1896, page 554./Wikipediaより

もも:日本では女性が参政権を獲得したのは1946年だから、ニュージーランドはだいぶ早いね。

よっしー:ニュージーランドではLGBTQ+の方など、多様なバックグランドを持った方が議員になっていますよね。生活していて何か思うことはありますか?

あかり:ニュージーランドは移民の国なので、さまざまな地域出身の人が暮らしているんです。先住民族のマオリもいれば白人やアジア系もいます。生活する中で異なる宗教を信仰している人がいるのは当たり前のことです。その多様な環境がそのまま政治に繋がっていると感じます。

よっしー:アメリカも多民族国家ですが、今回の選挙結果からもわかるように地域によってもだいぶ差がありますよね。ドイツはどうですか?

りゅうた:ドイツはEUの中でも移民難民が多い国ですが、女性の政治参加に関してはメルケル首相の存在が大きいと感じました。僕の中ではドイツという国は男女平等先進国のイメージがあるのですがみなさんはどうでしょう? ドイツでも女性が参政権を獲得したのは1919年で日本より遅くはなかったのですが、ナチスの時代を経たことでその後の女性の社会進出は結局遅くなってしまいました。そんな歴史があるので、今の時代にメルケルさんという明確な女性のリーダーがいることは、いい意味で女性たちのロールモデルになっているのではと感じます。

政治家になることはスタートライン!? 日本で首相になるための遠い道のり

もも:今の話を聞いていて、日本と他の国を比べた時に、日本では政治家になってから首相になるまでに時間がかかりすぎるんじゃないかと思いました。最終的にたどり着くところが首相だと、そのポジションにたどり着くまでには男性でも相当な年数が必要なんじゃないかと(日本の歴代首相の平均就任時年齢は62.3歳。ドイツのメルケル首相は51歳で、ニュージーランドのアーダーン首相は37歳で首相に就任している)。

あかりりゅうた:そうですね。わかります。確かに。

もも:あと、日本では国会議員に女性が少ないから女性の首相候補が出てこないんだよね。だから今の選挙で当選する候補者の多くと同様に、もともとその選挙区に地盤を持っている人ではない候補者がより一層多く出てくるべきだと思います。それに、ドイツは選挙制度に小選挙区比例代表並立制(*1)を採用していますね。デンマークも比例代表制。比例代表制の方が多様な人が受かりやすいし、これらの国では政党が段階的にクオータ制(*2)も導入している。政党の努力によって女性議員や多様性を反映した議員の割合を増やしているんだよね。

*1:小選挙区比例代表並立制:一つの選挙区から一人が選ばれる「小選挙区制」と、全国をいくつかのブロックに分け、その中の定数を得票率の高い政党から配分していく「比例代表制」を組み合わせた選挙制度のこと。有権者は小選挙区の候補者名を書く票と、比例代表で政党名(または個人名)を書く票の二票が与えられる。日本の衆議院議員選挙でも採用されている。
*2:クオータ制:公的な政策決定機関において一方の性の占める比率に下限を設けること。80年代にノルウェーを先駆けとして北欧諸国で広まった。

PROFILE

NO YOUTH NO JAPAN
NO YOUTH NO JAPAN

「参加型デモクラシーをカルチャーに」をビジョンに掲げ、U30世代が政治や社会について知ってスタンスを持って行動するための入り口づくりを行う。U30のための政治や社会の教科書メディアをInstagramなどで運営するほか、イベントや記事の執筆を行っている。

能條桃子
能條桃子

一般社団法人NO YOUTH NO JAPAN代表理事
1998年生まれ、慶應義塾大学経済学部4年生。若者の投票率が80%を超えるデンマーク留学をきっかけに、2019年7月政治の情報を分かりやすくまとめたInstagram NO YOUTH NO JAPANを立ち上げ、2週間でフォロワー1.5万人を集める。その後、選挙前に「投票に行こう」と選挙前にバズるだけでは投票率は上がらないと考え、NO YOUTH NO JAPANを団体に。現在、60名のメンバーとともに、ジェンダーと気候変動に関心を持ちながら、「参加型デモクラシー」のある社会をつくっていくために活動中。

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