くつろいでいてみずみずしい雰囲気のイラストと、丹念に磨かれた審美眼で選り抜かれていることが伝わってくるファッションや生活のつくりかたが印象的なイラストレーターのよしいちひろさん。そんなよしいさんに、She isの特集「出会う、何度でも」のメインビジュアルを描いていただき、「出会い」に関して言葉を寄せていただきました。
居心地のよさを支えているのは、出会う前には正体のわからないものに対して、オープンであること、前向きであること、芯があること、誠実であること、といった確かな姿勢で向き合ってきた積み重ねによるもの。出会いは完全にはコントロールできず、だからこそおもしろさもおそれもある中で、どう向き合える自分でいたいのか、考えるきっかけになる言葉たちです。
ふわふわと漂う無数の出会いのなかで記憶に残るようなものに出会ったときは、ぱちんと何かが弾けるような音がする気がします
・特集「出会う、何度でも」のテーマをどのように解釈しましたか?
ひとは無数の出会いのなかで生きています。会社の同僚から、SNSで流れてきた広告、スーパーで手にしたピーマン……。
辛うじてかする程度のものもあれば、びびっと来ちゃってその後の人生に多大な影響を与えるものまで。
ふわふわと漂う無数の出会いのなかで記憶に残るようなものに出会ったときは、ぱちんと何かが弾けるような音がする気がします。
勇気を出してたくさん出会ってみてほしい、でも違うなと思ったらすぐにでも身を引いていい
・作品に込めた思い、考え方は?
良いもの悪いものどうでもいいもの、出会いは無数にあって、勇気を出してたくさん出会ってみてほしい、でも違うなと思ったらすぐにでも身を引いていい。例えば息子に対してそう思います。
これを見た人が出会いについて前向きになれるよう、肩の力がほぐれるような明るい世界を心がけて制作しました。
私の私らしさを認めて伸ばしてくれる人たち
・よしいさまにとって、今の自分を形作っていると感じられるのはどんな出会いですか?
この質問について考えたときにキーになる人物が何人か浮かびました。彼女彼らの共通点は一緒にものづくりをしたこと、私の私らしさを認めて伸ばしてくれる人たちです。あと皆全員誠実です。
自分が自分らしくあっていいことに安心して、それを伸ばしてこられたからこそ今の自分があると思います。
友人とクローゼットで現役のワードローブをひとつ交換っこをしました
・最近出会ったもので印象的だったものはなんですか?
友人とクローゼットで現役のワードローブをひとつ交換っこをしました。不要になったからでなく、プレゼントでもない、 ただ自分より彼女のほうがそれが似合うだろうからという交換です。
彼女がどんなものを選んでくれるかもワクワクしたし、届いた洋服をまとうと彼女が乗り移ったような気分もして、これまでになかったパターンの出会いはとても刺激的でした。
お洋服を交換したときの様子
オープンであること、前向きであること、芯があること、誠実であること
・大人になると出会いが少なくなるという話もききますが、よい出会いを呼び込むためにはどのようなことが必要だと考えますか?
基本的に受注されて初めて仕事が発生する職業なので「声を掛けたい人物」でありたいなと常に思っています。オープンであること、前向きであること、芯があること、誠実であること。
それらは自分で常に心掛けていることかもしれません。ちなみに出会いには良いものも良くなさそうなものもたくさんあるかと思いますが自分があまり嫌な思いをしてこなかったのは誠実さのない人に対してはさっと手を引いてきたからかなあと思います。