蓋をするんじゃなくて、そのトピックをオープンに広げてみたら話せるんじゃない? って思った。(haru.)
—最近、SNSなどでも生理にまつわる議論がたくさん起こったり、以前に比べると少しずつ生理について話しやすい空気になってきていますよね。おふたりは、今よりもずっと生理の話がタブー視されている頃から意識的に生理について考え、発信してきたと思うのですが、今の状況についてどういうふうに考えていますか?
haru.:もともと生理について話したいと思ったのは、自分のPMS(月経前症候群)の症状がひどかったのがきっかけです。特に高校生の頃はメンタルが落ち込むことが多くて、ピルを飲んだり、女性ホルモンを整えるお茶を飲んだりいろいろしながら解決策を欲していたんです。でも、これって絶対自分だけじゃないよなと思ったし、実際にまわりの女の子たちがなにかしらの問題を抱えているトピックなのに、なんでもっと話せないんだっていう単純な疑問が生まれてきて。
それってそもそも、話せる場所がないのかもと思ったんです。それで、『HIGH(er)magazine』だったら気持ちを開いて話してくれるかもと思って、ピルを飲んだ子の体験談や、PMSの症状や対処法をどうしているかみたいなことを「もっと話そう」っていう気持ちで載せ始めました。
—かなりチャレンジングなトピックだったと思うのですが、実際に掲載してみていかがでしたか?
haru.:蓋をするんじゃなくて、そのトピックをオープンに広げてみたら話せるんじゃない? って思ったとおりに、読者からは友達同士で話すきっかけになったっていう声もありました。男友達も結構読んでくれていて、「女の子とあんまり話せるトピックじゃないと思っていたから、今まであまり聞けなかったけど教えてくれてよかった」みたいな感想を聞いたりして、実際に男友達にタンポンを見せてあげたりもしました。
いかに生理であることを隠すかが重点になって、自分が心地いいかどうかが置き去りにされている。(柿沼)
—女性の間でも話しにくい空気がある話題ですから、男性は特にわからないですよね。
haru.:そうですよね。学校でも保健体育の授業のときに男女で部屋を分けられてしまうじゃないですか。生理の話をするときは男の子は外にいて「これは女の子だけの話だから」みたいな感じに学校がしてしまうと、女の子も男の子も「あ、この話はしてはだめなんだ」って思っちゃいますよね。
竹中:たしかに。男の子もそれだと生きている中で自然に知る機会がないから、自分から進んで知ろうとするきっかけがあったり、教えてもらわない限り生理がどういうものかはわからないですよね。でも、女の子からしたら「なんでわかってくれないんだ!」って思ってしまうこともある。それって本当は会話の糸口があれば解消できることだけど、お互いそこにたどり着く前に遠慮してしまう部分はありますよね。
柿沼:うんうん。EMILY WEEKの立ち上げの思いも通じるところがあって。私は前の会社で働いていたときに生理が重かったりPMSが辛かったりして、会社にどうしても行けないときがあったんです。仕事の上司や同僚には口にはできないけれど、実は生理のせいで休んでいたり、仕事のに支障をきたしていたりして……そういうことを一部の同僚とだけチャットでこそこそ相談し合っている状況に疑問を感じていたんです。だから、haru.さんと同じで、蓋をせずに話せる場所があったらいいなって思っていて。
—すべての女性がどんな状況でも生理であることを共有したいわけじゃないというのはもちろん前提としてありますが、女性同士でも口にしないこっそり話さねばいけないみたいな、あの少し窮屈な空気感が生まれるのはなぜなんでしょうね。
柿沼:世の中的なタブー視はあるかもしれないけど、女性自身がまずタブー視しているんだと思います。たとえば漏れを過剰に防ごうとして不快な下着をつけるとか、話すことを遠慮しすぎたりする空気はまだまだありますよね。いかに生理を隠すかが重点になって、しっかり休むとか、自分が心地いいかどうかが置き去りにされている。自分の身体の状態よりも、周りの目を気にしてどうよそおうかが最優先事項になってしまっていると思うんです。
だから、まずは女性自身が生理について受け入れることが大事なんじゃないかと思っていて。私がEMILY WEEKでやりたいと思ったのは、「自分を大切にすること」と「それがちゃんと守られること」。生理って多くの人に普通に起きるものじゃないですか。だから、過剰な反応はもうちょっと健全化できたらいいなと思うし、情報共有がもっとできたらいいなと思っています。タブーをどうにかしたいというよりは、受け入れてどう付き合っていくかということに意識が向いていますね。