パーソナルなことをオープンにすればいいっていう話ではないけど、アレルギー反応を少しでも緩和できたらいい。(haru.)
—生理は特別なことではなく多くの女性の身体に訪れることだからこそ、過剰によそおったり極端に避けたりするのではなく、どう付き合っていくかもっとオープンに対話する機会が増えていくといいのかもしれないですね。
柿沼:そうですね。オープンにしていかないとなかなか話されないことは、生理だけの問題ではないと思っていて。男女関係なく、症状がはっきりしていなくて言いにくいことっていろいろとあると思う。そうしたことを少しでも言えるようになることで、ちゃんとみんなが休めるようになればいいのにって思います。
haru.:たしかにそうですよね。休めないって、ほかのいろんな問題にもつながってくる。まだまだメンタルヘルスにまつわることは口に出しづらいし、セラピーに行っていると言うと変な受け取られ方をしてしまったりもしますよね。別にパーソナルなことをオープンにすればいいっていう話ではないけど、そういうことに対してのアレルギー反応を少しでも緩和できたらいいですよね。
—そういう意味で『HIGH(er)magazine』が生理について話す場をつくったのは大きかったんじゃないかなと思います。
haru.:『HIGH(er)magazine』では、なにかに対してのカウンターとして生理や政治のトピックを扱っているんじゃなくて、好きなファッションを取り扱うのと同じような感覚で、いろんなトピックのなかに並んでいることが大事なんです。
「真っ向勝負をしているんです!」っていう姿勢を取ると、そこについていけない人たちが生まれてくる。そうすると、そのトピックについて話すこと自体が戦闘モードになって、多くの人を除外してしまうかもしれない。だから、生理についても、いろんなところでたくさんの議論が生まれ始めたのはすごくいいと思うけど、みんなが生理を受け入れるための対話が生まれやすくなるような空気にもっとなっていったらいいなと思っています。
#NoBagForMeで、私たち世代だけじゃなく親世代にまで広がって、話す土台ができた。(柿沼)
—最近だと、「#NoBagForMe」を中心とした議論がSNSで発生していて、とても印象的でしたね。
柿沼:#NoBagForMeは、「生理用品をコンビニで買う時に紙袋に入れられる」という違和感についてこれまで話されてこなかったことにみんなが気づいたという意味で、本当にすごいプロジェクトだと思います。たとえば、私の母親は生理に対して結構タブー視していて、私に対しても「隠すこと」を教えてきた。
でも、そんな母親が「こういうキャンペーンをやっているよ」って私に言ってきて。私たち世代だけじゃなく、親世代にまで広がったっていうのは、話す土台ができたということだと思うんです。それって、強くメッセージを打ち出していかないときっとできなかったことですよね。
竹中:#NoBagForMeのメッセージや様々な生理にまつわるムーブメントの広がりによって、「もっと生理についてオープンにしてもいい」という土壌ができてきましたが、「オープンにしなきゃいけないのかな?」と感じている人も中にはいると思うんです。でも、決してそういうわけじゃなくて、そういう土壌のなかで、言いたいときに言ってもいいし、隠したいことやよそおいたいことはそのままでいいと、選択できるようになるといいですよね。
haru.:ひとりひとりが選べるかたちがいいですよね。「『みんな』特別でなければいけない」「『みんな』個性を爆発させろ!」みたいなメッセージが世の中全体に強くなってきたと思うんです。私はそれが結構しんどくて。
柿沼:WeとIの話ですよね。Weで語ると、そこから漏れる人たちが除外されていってしまうというか。だから、私はずっとIの話をしたいんです。自分自身がどうするか、どう思うか、どう気持ちいいか。そういうことを考えていくことこそが、いろんな選択肢につながると思うんです。
生理用品のパッケージに関しても、現状のキラキラなものやピンクのものを好きな方も絶対いて。だから今までずっとそういうパッケージが生まれてきていると思うんですけど、今は「それはちょっと違う」って思う人たちが声をあげようとしている。でも、自分がなにを選択するかって話だから、それはWeでは語れない。どちらもあっていいと思います。