手づくりの楽しみ<またはパンク・ソーイングのすすめ>/かとうさおり

家庭科が苦手でも作れるスカーフトートバッグの作り方

2020年7・8月 特集:癒やしながら
テキスト・写真:かとうさおり 編集:野村由芽
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自分自身の手を動かして作ってみることで、ありふれたワンシーンが完全な瞬間になる気がします

平気なふりをしていても、叶わなかった約束をふと思い出して少し悲しくなったり、これまでとは変わってしまった生活の些細なことにいつの間にかストレスを溜め込んでいたり。
この頃の私はそんな日々を過ごしています。
これを読んでくれている皆さんは、今どんな日々を過ごしていますか。
皆さんがそれぞれの場所でそれぞれに生きていること、そのこと自体に勇気をもらっている日々です。

私は日々のほとんどの時間を、ハサミで布を裁断したり、ミシンでひたすら動かしたり、シルクスクリーンで布にプリントをしたり、手をずっと動かしている時間が多いです。

そんな毎日の隙間の時間に、美しいものや元気が出るかわいいもの、素敵なお洋服を買うことも大好きですが、既製品をリメイクしたり可能な範囲であればNINE STORIESとして普段制作している商品ではなく、趣味の範囲でものをつくることも大好きです。

美しいもの、かわいいもの。特定の神を信じていない私にとって、それらはほぼ宗教的な意味合いすらあるのかもしれません。

自分の心にフィットしてぎゅっと寄り添ってくれるもの。自分らしさという剣を携えたもの。そんなものを身に付けたり、生活に取り入れたりすること。時には自分自身の手を動かして作ってみることで、ありふれたワンシーンが完全な瞬間になる気がします。
走り続ける特急電車の車窓から見えるビューンと吹き飛んでいく風景。そんな風に毎日はあっという間に走り去り、手からすり抜けて行きます。

きっとこの生はあっという間。だからこそどの瞬間だって記憶していたいし、大切にしたい。
そんな風に思っています。

特別な思い出をお守りにして、疲れた時にふと思い出せたなら、あともう少しだけ頑張れそうな気がします。
あのワンピースを着ていたあの日のこと。手づくりしたアクセサリーをかわいいねって言ってくれたあの人の顔。その時の気持ちの揺れ動きまで。
自分で手づくりしたものは、作っていた時間の重みもプラスされてより鮮明な記憶の装置となる気がします。

手づくりすること。その行為自体にも自分自身に何らかの影響があると思います。
完成形に意識を集中し、ひたすら手を動かし続けることで、日常との間に一歩距離を置くことができます。私自身、まとまった時間を作業に充てた後は、理由もわからないままにどこか気持ちがスッキリしていることがよくあります。
モヤモヤしていることや、ずっと考え続けてしまっていること。大きな一撃では無いけれど少しずつ忍び寄ってくるそんな日々のストレスを一旦、片隅に追いやって。何も考えずただ完成まで作り続けるのです。その時に考えるべきことは、丁寧に、集中し、作り上げていくということだけ。

また、布製品を主に扱っている私はなかなか機会に恵まれませんが、普段は意識して触れることが少ない土、水、金属などの素材に触れることもちょっとしたデトックスになる気がします。以前、とても疲れていた時に土に触れる機会があった時、普段触らないものが指に当たる感覚がとても新鮮で、気持ちが晴れたことを覚えています。

パンク・ソーイングのすすめ

そんなわけで、普段ものをつくる機会のない方にこそ、ぜひ一度「手づくりすること」をおすすめしたいと思います。単に「手芸」というもの以外の部分での気づきや感覚がそこにはあります。
ただ、これは正統なソーイングの方法とは対極にあるものだと思うので、正しい知識を得たい方は教則本などで勉強してみてくださいね。

やったことがなくて不安……作ってみたいけど始め方が分からない。難しそう。

そんな皆さんにこそ、おすすめです。

この話をしても信じてもらえないことが多いですが、私自身とても不器用で、学校に通っている頃は家庭科の授業は殆ど聞いておらず、提出しなければならない課題は友達に作ってもらって何とかやり過ごしていました。その頃は、手芸にも全く興味がありませんでした。

ある時、自分でも作ってみたい、作れるかもしれないと思った時に一から学び直したので、まともなものが作れるようになるまでは大変でした。
「作ってみたい」という気持ちさえあれば、何とかなるものです。不器用さも人の何倍も丁寧に作業することでカバーされるでしょう。こんな私でも何とかなっているので、きっと大丈夫だと思います。私以上に家庭科の授業を聞いていなかった人は滅多にいないはずです。

自分のためだけに作るのであれば、出来栄えや細かな部分の仕上がりまで気にする必要はありません。難しいマニュアルも必要ありません。ミシンに至っては使い方さえ習得すれば、自分の代わりに縫い上げてくれるのです。間違えて縫ってしまった場合でも、針と糸を外せばどこからでもやり直しがききます。
好きな布、リボンなどを思いつくままに用意して、縦横無尽に切り刻み、縫い合わせるのです。ミシンはあなたの手となります。

友人へのサプライズプレゼントというのも、作る時のモチベーションになります。

いつの間にか私たちは大人になり、もらった分と同じだけの分量の好意を返す。そんな優等生のマナーばかりを身につけてしまい、つまらない時はありませんか。

思いっきりの「笑顔を見せて」。
時にはありったけの好意の気持ちをぶつけてみたくなる時もあります(もちろん、相手との関係性や気持ちは汲みましょう)。

その瞬間を思い浮かべながらの制作はより楽しい時間になりそうです。

一度でも楽しく作ることが出来れば、きっとまた作ってみたくなります。

そんなきっかけの一つとして、誰でも簡単にできそうなトートバッグを作ってみたので、ご紹介したいと思います。
私自身も楽しく作れるもの、普段作らない新しいもの、いつかプライベートで作ってみたいと思っていたものです。とにかく気持ちが明るくなるものを考えました。
材料もすぐ手に入りそうなものを選んでいます。もし面白そうだと思って頂けたらチャレンジしてみてくださいね。

スカーフトートバッグの作り方

準備する材料
・GUのスカーフ2枚(かわいいものが見つかるし、価格ゆえ失敗を恐れる必要もありません)
・持ち手となる紐、またはリボン。スカーフの縦の長さ×2+20cmほどあると良いでしょう(グログランやサテン、色味、組み合わせの可能性は無限大)
・内布用の生地(中が見えた時にパッと気持ちが明るくなる柄がおすすめ)

作り方
1.内布となる生地の横幅を好きな大きさで裁断し、両端を1cm空けて袋状に縫い合わせておきます。縦はスカーフから少し長めに取ります。今回は表となるスカーフの両端をひらひらとさせたいため、内布は横向きに20cm長さを短くしました。スカーフの上に置いてみて両端から10cmの位置に配置します。上部は内側に縫い込むため、数cm出るように残しておきます。

内布となる生地を袋状に縫ってから、スカーフの上に配置する

2.左右とも端から10cmの位置でマチ針で留めていきます。しつけ糸で仮縫いをし、上から下まで左右とも縫います。更に写真の状態に上にもう一枚のスカーフ置き、同じ箇所をもう一度縫い合わせます。これで何と無く、トートバッグの形になります。

バッグの左右となる部分をマチ針で留めて縫う

もう一枚のスカーフも同じように縫う

3.バッグの上部のはみ出している内布を内側に入れ込み、好きな長さの持ち手を挟み込み、縫い合わせます。今回はスカーフをそのまま使い、サイズが大きいので紐は短めにしました。

4.下部の部分を紐で包み込み、見た目も綺麗に補強します。

バッグの下部を紐で包み込み、補強する

5.本体の両端の縫い合わせた部分の縫い目を隠すように、上部から紐(またはリボン)を挟み込み、垂れるように縫い合わせる。本体の縫い目を中心にすると綺麗に配置できます。

バッグの持ち手となる紐やリボンを縫い合わせる

紐は結んでも垂らしたままでも可愛いと思います。

紐(リボン)を垂らしたバージョン

細部の仕上げなどはお好みで、シンプルに四角いものを上から下へ、右から左へ縫ってみてくださいね。私は同じ素材の色違いで巾着バッグも作ってみました。こちらも大ぶりで、肩からかけるとバランスも良く楽しく作れます。参考にしてみてください。

色違いのスカーフで作った巾着バッグ

She isのMembersにプレゼントのおしらせ

かとうさおりさんがこの記事のために手づくりした「スカーフトートバッグ」(イエローとグリーン)をShe isのMembersのみなさまから抽選で1名ずつにプレゼントしてくださいます。応募方法はこちらのフォームから(締切:9月10日中)。

イエローのスカーフトートバッグ

グリーンのスカーフトートバッグ

PROFILE

かとうさおり
かとうさおり

色彩、記憶、物語をテーマに2014年にNINE STORIESとしてものづくりの活動を衝動的にスタートする。
活動名の由来は、たくさんの物語を作っていきたいという思いを込めて。
百貨店催事や個展を中心に大阪にて活動中。
自主企画として映画上映やトークイベントの企画に携わるほか、
映画館、配給とのコラボレーション企画も行っている。
読書好きが高じて、読書の楽しみを広める活動として古本市への出展、企画にも携わる。

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