呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーん。どうもチーム未完成です。
この連載『働くとは何ぞや』では、我々チーム未完成が毎回ねほりはほりしてみたい方々をゲストにお呼びして、お酒を飲んだり飲まなかったりしながら働くことや人生についてざっくばらんにお話ししています。
今回は、今年3月に新宿のビームス ジャパンで開催させていただいたチーム未完成のポップアップストア『チーム未完成のアップアップストア』オープニングイベントとして、『働くとは何ぞや』初の公開インタビューを決行! エッセイスト、コメンテーターとして活躍する犬山紙子さんにお話を伺いました。
地元では現実の自分の日々に鬱憤が溜まっていて、逃避先が必要だったんです。
ゆりしー:この連載、いつもは茶色い感じの居酒屋で3時間くらいだらだらと飲みながらやっているんですけど、今日は出張版ということで、このようにきらびやかに飾り付けた場所で行わせていただいております。
犬山:私もこんなにきらびやかな場所でトークすることはあまりないので、嬉しいです!
ゆりしー:最初に、未完成と犬山さんの出会いについて少しお話ししましょうか。犬山さんがチーム未完成のZINEを買ってくださったことがきっかけだったんですよね。
犬山:中目黒のBRICK & MORTARというお店にふらりと立ち寄ったら『ZINE SONIC』というZINEのイベントをやっていて。そこで「パン」のZINEを見つけて買ったんです。パンにインタビューをしたり、パンの歌もあるんですよね?
しをりん:ラップをやってますね。
チーム未完成『パン』
犬山:これは様子がおかしいなと。
未完成:(笑)。
しをりん:最高のほめ言葉です。
犬山:「なんて最高なんだ!」と思ったんです。それで、喜びのあまりTwitterでZINEを買ったことをつぶやきまして。
ゆりしー:それを見つけて私たちは大喜びしてね。
しをりん:狂喜乱舞したあかつきに、ちょうどお子さんが産まれたばっかりだったので、お礼にとパンのロゴを入れたよだれかけとロンパースを勝手に贈らせていただいて。
犬山:めっちゃ着せましたよ。
未完成:嬉しい!
しをりん:そんなご縁から今日無理を言って出ていただいたような次第です。
犬山:そんなことないです(笑)。
ゆりしー:そんな犬山さんと未完成なんですけども、まずは犬山さんが今のお仕事に至るまでのことをお聞きできたらと。さかのぼると、犬山さんはもともと会社員をされていたのですよね。
犬山:そうなんです、ファッション誌の編集者をしていました。地元にいた頃の私は、逃避をしたくてですね。
ゆりしー:逃避。
犬山:現実の自分の日々に鬱憤が溜まっていて、逃避先が必要だったんです。それが、ゲームの世界に逃げるか、ファッション誌を見て綺麗な世界にうっとりすることだったんですよね。そこからファッション誌の編集さんになりたいなと思い、大学時代からフリーペーパーをつくるお手伝いをしたりしつつ、大学卒業後に地元の仙台のファッションカルチャー誌に就職して、編集者になったんです。でも1年半で辞めてしまったんですけどね。
しをりん:それはどうしてですか?
犬山:かなりハードだったんですよね。編集部5人で1冊の雑誌を毎月つくっていたんですけど、地方の出版社って本当にお金がなくて、カメラマンさんをお願いできるのも表紙やグラビアくらい。あとは編集者が写真も撮るんですよ。ブツ撮りとかもしましたからね。ライターさんもほぼ雇えないから、だいたいの原稿は自分で書くし。
しをりん:すごくスキルが身につきそうではありますけどね。
犬山:とはいえ当時はずっと「はあ、寝たい……」って思いながらやっていて。3か月で15kgくらい太りました。もともと洋服が好きで始めたのに、洋服が入らなくなるという切ない状況で。そんななか、母が病気をしていて、介護をする人が必要だったこともあり、就職して1年半くらい経った頃に自分が介護をしようと思って会社を辞めました。
お母さんの介護をしながらできる仕事がいいし、やりたくない仕事は絶対にやりたくないという思いが強かった。そこから、漫画家になろうと思ったんです。
しをりん:それからしばらくは、お仕事をしていない期間があったんですか。
犬山:本当はしたかったんですよ。でもお母さんの介護をしながらできる仕事がいいし、やりたくない仕事は絶対にやりたくないという思いが強かった。そこから、漫画家になりたいと思ったんです。漫画が好きだし、漫画家だったら家でできると思って。それで、せっせと6年近く漫画を描いてはボツになっていました。
ゆりしー:「ボツ」っていうのは、いわゆる投稿みたいなことをしていたんですか。
犬山:出版社に持ち込みに行きました。ただ、その頃私はギャグ漫画を描いていたんですけど「ギャグっていうのはね……」みたいな説明を編集さんから受けたり、スーパー門前払いを食らうような感じでした。
ゆりしー:その説明受けてる状況、なかなか辛いですね……。
犬山:そんな感じで4~5年くらいは漫画家を目指して、仲間たちと『ペロペロコミック』っていう同人誌を作ってコミティアとかに出したりもして。当時は「聖モチ」という名前で、スカウターで股間を見ると爆発する、というような内容の下ネタ漫画を描いていました。あ……一応スカウターで股間を見た女たちには天罰が下ります。
しをりん:名前の由来が気になる。
犬山:なんの意味もないですね、ただ炭水化物が好きっていう。
ゆりしー:私も餅好きです。
犬山:でも一番はパンですよね?
ゲッツ!:いや、私たちパンはそうでもないんですよ。
犬山:は⁉︎ ショックなんですけど……。
しをりん:ビジネスパンだもんね(笑)。
犬山:私は犬、ちゃんと好きですよ! ビジネス犬じゃないですもん。
しをりん:まあ、食べるのも好きなんですけど、パンはモチーフとしてかっこいいっていう。
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