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第十六回:夢のような夜明け。

夜明けのような風景を集めて、夢の疑似体験をしよう

2019年3・4月 特集:夢の時間
連載:つめをぬるひととつくる自分のために塗る爪
テキスト・撮影:つめをぬるひと 編集:竹中万季
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寝ている間に見る夢とはどれくらいの頻度で見るものだろうか。私は寝ている間に夢を見ることは年に2、3回あるかないか。見たとしてもあまり覚えていないので、「寝ている間に見る夢」というものがよく分からない。分からないけれど、なんとなく自分の中で「夢に出てきそうな風景=少し靄のかかった夜明け」というおおよそのイメージがある。滅多に夢を見ないからなのか、私はそういう夜明けに心を動かされることが多くて、中でも「好きな夜明け」がいくつかある。

以前、8月のテーマ「刹那」の際に、朝5時の幕張について書いたことがあった。幕張から乗る京葉線の車窓から見えるのは川や工業地帯。これらを「夢に出てきそうな風景」と言っても共感は得られないかもしれないが、私にとっては見慣れない夜明けであり、個人的にとても好きな風景である。

もっと遡ると学生時代、先輩達に連れられて秩父の山で日の出を見たことがあった。車で山を登って行くとき、BGMとしてかかっていたのは吉田達也・津山篤のユニット「赤天」の楽曲だった。

うねうねした山道を、うねうねとしたベースや、不安定なリズムを聴きながら登って行く。眠いのか、酔っているのか、あるいはそのどちらでもない不安定な、だけど少し楽しい、そんな気持ちで山頂近くに到着。日の出までの間、私たちは寒かったので「あたたかいものしりとり」という独自のしりとりで時間つぶしをした。今思い出すと、肝心な日の出の記憶はあまりなく、そのしりとりでとんちんかんな答えをしたり、赤天を聴いた記憶のほうが色濃く残っている。

好きな楽曲のMVに、好きな夜明けが出てくると、私はもう釘付けである。最も好きな夜明けMVは、Thieves like usの“Drugs In My Body”。曲の中盤、青年達が店を襲撃した後に出てくる夜明けのビル群の映像はずっと見ていられる。

昔に比べて、徹夜が体に堪えるようになってきた現在。以前ほど良い夜明けには巡り会えていないし、かといって徹夜しようという気にはなれない。ここに書いた夜明け達はどれも現実に存在していた夜明けで、「夢のような」という言葉を用いてしまうと、少し意味が違うのかもしれないけど、あまり夢を見ない私にとっては、私だけの「夢」そのものである。

3・4月の特集テーマ「夢の時間」の爪「haze」

少し霞んだ夜明けのような風景をたくさん集めて、夢の擬似体験をしよう

使った色

A. She is オリジナルネイル「Like a Dream」
3月のギフト「夢の時間」に同梱)
B. グレー
C. ベージュ
D. 薄いパープル
E. 水色
F. 細筆の白
G. 大きめのラメが入ったネイル
(今回は資生堂ネイルエナメルPICOの「05 ゆびわ」を使用)

塗り方

1. 全ての爪に「Like a Dream」を塗る。

2. 右の薬指と、左の親指に細筆の白でドットを描く。
爪の縁を1周するのではなく、縁の一部にだけ描くのが簡単で可愛い。

3. 2の好きなところに大きめのラメが入ったネイルでラメを少しだけ乗せる。

4. 残りの爪の縁の一部にB~Eの色を塗る。

5. 1で下半分に色を塗った3本の爪の上部と、4の好きなところ1箇所に、細筆の赤で点を描く。

B~Eはパステル系の色であればなんでもいい。「Like a Dream」は透けたような色合いにしたい場合は1度塗り、しっかり色付けしたい場合は2,3度塗りをするのがおすすめ。

PROFILE

つめをぬるひと
つめをぬるひと

爪作家。CDジャケットやイベントフライヤーのデザインを爪に描きそのイベントに出没する「出没記録」、「身につけるためであり 身につけるためでない 気張らない爪」というコンセプトで爪にも部屋にも飾れるつけ爪の制作、爪を「体の部位で唯一、手軽に描写・書き換えの出来る表現媒体」と定義し、 身体性のあるファンアートとして、DOMMUNEの配信内容を描く「今日のDOMMUME爪」。これら活動を並行しながら年に数回、人に爪を塗る「塗る企画」を TONOFON FESTIVAL2017等の音楽フェスやその他イベントにて実施。

INFORMATION

連載:つめをぬるひととつくる自分のために塗る爪
連載:つめをぬるひととつくる自分のために塗る爪
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第一回:彼は「自分なんて」を一切言わない。
第ニ回:コンプレックスの有効活用。
第三回:ターニングポイントはボーナストラック。
第四回:変わることと隠すことは紙一重。
第五回:「始まっている」と思った時から、それは始まっている。
第六回:誰も行けないのに、誰にも言いたくない店の話。
第七回:過去の手紙と、SNSをやっていない友人。
第八回:帰省という日常と、旅行という非日常。
第九回:朝5時、蒸し暑い夏の幕張。
第十回:物欲と金銭状況の均衡。
第十一回:拠点を変えてみるという選択。
第十二回:全力で応えるのは敵意ではなく好意でありたい。
第十三回:競技よりも色濃い、発掘された石の記憶。
第十四回:爪作家と名乗る理由。
第十五回:配色という名の遊び。
第十六回:夢のような夜明け。
第十七回:苗字が変わることで救われる人もいる。
第十八回:自分に課した楽しみでさえも逸してみる休日。
第十九回:服の影に見惚れたこと。
第二十回:体の操縦。
第二十一回:根拠のないおまじない。
第二十二回:なんてことない場所でも楽しいと思えることを誇ろう。
第二十三回:自分に合うという感覚を大事にする。
第二十四回:ダミ声の猫。

第十六回:夢のような夜明け。

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第十六回:夢のような夜明け。

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