第四回:変わることと隠すことは紙一重。

隠すことはマイナスとは限らない。「conceal」のレシピ

2018年3月 特集:変身のとき
連載:つめをぬるひととつくる自分のために塗る爪
テキスト・撮影:つめをぬるひと 編集:竹中万季
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先日、人生で初めてコンシーラーを買った。

私は小さい頃からテレビっ子だったので、『進め!電波少年』などの深夜番組を見たり、眠る前には父に布団の中で校歌を小声で披露したりと、夜更かしを得意としてきた。だからか分からないけど、慢性的に目の下のクマがあり、もう長い付き合いになる。だけどそこまで気にしたことはなく、コンシーラーの存在は知っていたが、そのうち買おうと思いながら何年も経っていた。

私は「いつか買おう、そのうちしよう」のストックを貯めがちなところがある。たまには棚卸しをしなければ、という気持ちになったというか、ただ単に気が向いただけなんだけど、とうとう私はコンシーラーを入手した。

そして使って感動した。こんなに伸びが良いのか。にきび跡やクマがここまで消えてしまうのか。こんなことならもっと早く使えば良かった! と、まるでパソコンのスペックを上げた人みたいな感想。

私たちは綺麗になるために化粧をする。何かを隠すために化粧をする。爪を塗るという行為も、可愛くするためでありながら、自爪を隠す行為とも言える。

隠すという言葉はマイナスに捉えられがちだけど、ポジティブな隠しごと=変身なのかもしれない。物事を根本から変える変身もあれば、隠す変身もある。変わることと、隠すことは紙一重だ。化粧や爪を塗ることは、最低限のみだしなみという常識だけではない、私たちが毎日している、ポジティブな隠しごと。

たまにする「いつかやろう」の棚卸しがもたらしたコンシーラーは、長年付き合ってきたクマを隠した。そういえば、私が父に校歌を披露したのが布団の中だったのは、母に夜更かししているのがバレないようにするためだったような気がする。私は昔から隠しごとが好きだったようだ。

どこか罪悪感を感じてしまいがちな「隠しごと」だけど、化粧や爪を塗ることのように、「隠してますけど、だから何ですか?」と言って許される隠しごとは、なんだか凛々しくて清々しいものにしたい。

 

3月の特集テーマ「変身のとき」の爪「conceal」

変わることと隠すことは紙一重。
周りを幸せにする隠しごとがうまい人は、変化を厭わない。

使った色

A She is オリジナルネイル「Green tunnel green」
(She isの3月のギフト「変身のとき」に同梱)
B. グレー
C. 原色系を数色
D. 黒
E. 細筆の白
(B~Dはコスメストア等で300円くらいで買える。Eは100均でも良い。)

塗り方

1. 小指に黒、その他2,3本の指にグレー、残りの指にGreen tunnel greenを塗る。グレーを塗る指は左右で違っていたほうが飽きない。
2. グレーを塗った上に原色(ビビッドな色のほうが映える)のネイルで数本線を描く。爪とネイルポリッシュの筆の接地面が広くならないように筆を左下から右上へ移動するように描く。右上にいくにつれて、筆がかすれてしまうくらいが理想。このかすれた線が、ネイルで描いたとは思えない描写になって楽しい。

PROFILE

つめをぬるひと
つめをぬるひと

爪作家。CDジャケットやイベントフライヤーのデザインを爪に描きそのイベントに出没する「出没記録」、「身につけるためであり 身につけるためでない 気張らない爪」というコンセプトで爪にも部屋にも飾れるつけ爪の制作、爪を「体の部位で唯一、手軽に描写・書き換えの出来る表現媒体」と定義し、 身体性のあるファンアートとして、DOMMUNEの配信内容を描く「今日のDOMMUME爪」。これら活動を並行しながら年に数回、人に爪を塗る「塗る企画」を TONOFON FESTIVAL2017等の音楽フェスやその他イベントにて実施。

INFORMATION

連載:つめをぬるひととつくる自分のために塗る爪
連載:つめをぬるひととつくる自分のために塗る爪
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第一回:彼は「自分なんて」を一切言わない。
第ニ回:コンプレックスの有効活用。
第三回:ターニングポイントはボーナストラック。
第四回:変わることと隠すことは紙一重。
第五回:「始まっている」と思った時から、それは始まっている。
第六回:誰も行けないのに、誰にも言いたくない店の話。
第七回:過去の手紙と、SNSをやっていない友人。
第八回:帰省という日常と、旅行という非日常。
第九回:朝5時、蒸し暑い夏の幕張。
第十回:物欲と金銭状況の均衡。
第十一回:拠点を変えてみるという選択。
第十二回:全力で応えるのは敵意ではなく好意でありたい。
第十三回:競技よりも色濃い、発掘された石の記憶。
第十四回:爪作家と名乗る理由。
第十五回:配色という名の遊び。
第十六回:夢のような夜明け。
第十七回:苗字が変わることで救われる人もいる。
第十八回:自分に課した楽しみでさえも逸してみる休日。
第十九回:服の影に見惚れたこと。
第二十回:体の操縦。
第二十一回:根拠のないおまじない。
第二十二回:なんてことない場所でも楽しいと思えることを誇ろう。
第二十三回:自分に合うという感覚を大事にする。
第二十四回:ダミ声の猫。

第四回:変わることと隠すことは紙一重。

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