近所に「どんちゃん」という地域猫がいる。低いダミ声で「うゃぁ~」と鳴く。可愛い鳴き声の猫も好きだけど、なんだか人情が感じられるような声をしている猫も好き。
どんちゃんがよくいるマンションの大家さんが普段は餌をやっており、時々その現場にでくわす。お腹が空くと「にあ゛~」とダミッダミの声で鳴きながら近づき、お腹いっぱいになった途端、無言ですっと遠くへ行ってしまう。なんて猫らしい猫なんだろう。
餌にも好き嫌いがあるらしく、あまり好きじゃない餌をあげると食べないそうで、大家さんは「わがままなんだよな~」と苦笑い。
大家さんから聞いた話だと、どんちゃんはもう20年ほどこの地域にいるらしく、人間でいうとかなりのおばあちゃん。その地域に昔あったガソリンスタンドに、数匹まとめて置き去りにされていたところを発見されたらしい。
なんと「ガソリンスタンド」の「ド」から「どんちゃん」と名付けられたそうだ(本当か?)。思わずその話を聞いて「ガソリンスタンどんちゃんなんですか!」と、おそらく地球上で誰一人として発したことがないであろう文言を口にした。もしかしたら「がそちゃん」「りんちゃん」「すたちゃん」が存在するのかもしれない。いや、いるのか? というかそれ本当か?
晴れている日はだいたいいつも同じ場所で寝ている。寝起きは「ふゃん」と鳴き、しゃあなしといった感じで人間に顔を撫でさせている。夫は毎朝仕事へ行くたびにどんちゃんを見つけると、声をかけて撫でている。というか撫でるのが当たり前になっていて「撫でない選択肢があるの?」とか言う。
その地域に住む人々からも、老若男女問わず、通るたびに「どんちゃん~」と声をかけられている。まさか名前まで周知されているとは思わなかった。特に土日は多くの人が声をかけてくるからなんだか忙しそうで、ちょっとしたアイドルだ。
餌をくれそうな大人には、自ら近づいてきて甘えたり撫でさせてくれたりするけど、子供は苦手らしく、近づくと逃げてしまう。小学生の男の子たちが「猫いる~?」と周辺をさまよっているのを見ると、私は「静かに寝かしてあげて……」と思いながら余計な心配をしてしまう。
思い返せば、私が上京してから住んできたいくつかのマンションやアパートには、必ず入り口付近に猫がいた。どの猫も近づこうとすると逃げてしまうので、地域猫ではなく野良猫だったのかもしれないけれど、どんちゃんほど人懐っこい猫は初めてみた。
今こうしてどんちゃんがいることで、今の生活はだいぶ豊かなものになっている気がする。どんちゃん自身はそんなつもりないのかもしれないけれど、地域の人々へ確実に愛をふりまいている。
これからも長生きしてほしいな。
7・8月の特集テーマ「癒やしながら」の爪「Pawsome」
片手の爪は大好きな地域猫のお腹の模様を描きました。愛猫や愛犬の模様を爪に塗ることで、常に好きな子を愛でているような気分になれます。
使った色
A. 水色
B. ラメの入った水色の同系色
(今回はOSAJI アップリフトネイルカラー Sorekaraを使用)
C. 紺
D. ベージュ
E. 白
F. マットトップコート
(D,Eは愛猫や愛犬の模様に合わせて色を変えてもいいと思う)
塗り方
1. 右手の親指から薬指までの4本の爪に水色を塗り、乾いたら爪の上部にラメの入った水色の同系色を塗る。まっすぐ塗るよりも若干波を描くようにすると可愛い。
2. 右手の小指の爪に紺を塗る。
3. 左手の5本の爪にベージュを塗り、乾いたら下部に白を塗る。この時点で、ベージュと白の境界線は少し白がかすれたように描くと、次の工程がやりやすい。
4. ベージュと白を塗った上から、マットのトップコートを塗る。色の境界線を下から上へ、白を伸ばすかのように塗ると、猫の毛の質感のようなものが出る気がする。
この記事にある写真の爪は、さきほど登場した地域猫の、お腹の部分が白いという特徴を爪にしましたが、3,4の工程で、色を変えたり、まだら模様や縞模様にしたりして、皆さんの愛猫・愛犬の模様にすると楽しいと思います。