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第三回:ターニングポイントはボーナストラック。

自分の好きなものに堂々としていよう。「favo」のレシピ

2018年2月 特集:超好き -Ultra Love-
連載:つめをぬるひととつくる自分のために塗る爪
テキスト・撮影:つめをぬるひと 編集:竹中万季
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私は時々Twitterで「#描いてみたつめ」というハッシュタグを付けて、CDジャケットを爪に描いた写真をツイートしている。多趣味ではない私が唯一趣味だと言えるのが音楽。今回は、そんな私のターニングポイントとなった曲について書いてみる。「誰得」という言葉しか出てこないが、好きなものの話は大抵「誰得」だ。

私は昔、映画のサントラを聴くのが好きで、中学の時にはSUPERCAR、ZAZEN BOYS等のバンドを映画から知った。高校では放送部の部室でライブ映像や映画を観たり、地元のCDショップで知ったRIP SLYMEを昼休みの放送で流したりする生活を送っていた。

大学で軽音サークルに入った私は、先輩から「シンセ買いなよ」と勧められ、安いmicro KORGを買った。するとその先輩は、ある曲を流しながら「これ耳コピしてきて」と言ってきた。なんだか買わされた感があるが、シンセへの興味はあったし、せっかく買ったんだからと、やってみることにした。

それまで邦楽ばかり聴いてきた私の音楽嗜好を変えることになった曲。それは、GANG GANG DANCEの『Saint Dymphna』(2008年)に収録されている”House Jam (XXXChange Remix)”だ。「ご存知のあの曲」みたいに書いてしまったが、誰かが存じ上げてる望みは薄い上に、この曲はボーナストラックだ。そんな曲を、シンセの扱いも分からない私は、再生回数がトップに躍り出るほど必死で聴き倒して、音色を作り、耳コピした。

当時、周りにシンセ所有者が少なかったこともあってか(やっぱり買わされたのかな)、それを境に「シンセがないと出来ないバンド」ばかり誘われるようになった。ゼロ年代のディスコパンク、ダンスミュージック、エレクトロ、テクノを必然的に多く聴くことになったが、飽きるどころか目覚めてしまい、自分で調べて聴いてライブに行くようになり、卒業から随分経った現在もその嗜好を引きずっている。

GANG GANG DANCE『Saint Dymphna』のアルバムジャケットの#描いてみたつめ

よく「音楽好きを公言するならこれを聴いて当然」みたいな音楽があるが、私はあまりそこを通ってこなかった。大御所アーティストは詳しくないけど、誰も知らないような海外のインディーズを見つけては、自分だけの宝物を見つけたような気持ちでほくほく聴くのが未だに好きだ。そういう気持ちは、歴史を重んじることよりもほんの少しだけ優先的に大切にしたい。

2月の特集テーマ「超好き~Ultra Love~」の爪「favo」

何かに縛られることなく、気に入ったら「好き」で良いと思えるようになった。
自分の好きなものに堂々としている人が好きだ。

使った色

A She is オリジナルネイル「Ultra love」
She isの2月のギフト「超好き~Ultra Love~」に同梱)
B. 黒
C. ベージュ
D. ターコイズ
(B~Dはコスメストア等で300円くらいで買える)

塗り方

1. 中指にターコイズを塗る。
2. 中指を中心とし、左側にある爪は黒、右側にある爪はベージュを塗る。
3. Ultra loveを爪の縦半分だけ塗る。
  黒を塗った爪には左半分に、ベージュを塗った爪には右半分に。
4. ターコイズを塗った中指の上に、Ultra loveで点を描くようにたらす。
 ネイルの筆先でも点は描けるが、難しい場合は爪楊枝や筆を使うと小さい点が描ける。
 Ultra Loveで点を描くと、水滴が落ちたようにキラキラして見える。
5. 中指はターコイズではなくUltra Loveで塗るのも良い。
 好きな色の上に重ねて塗るも良し、そのまま塗るも良し。好きに使おう。

PROFILE

つめをぬるひと
つめをぬるひと

爪作家。CDジャケットやイベントフライヤーのデザインを爪に描きそのイベントに出没する「出没記録」、「身につけるためであり 身につけるためでない 気張らない爪」というコンセプトで爪にも部屋にも飾れるつけ爪の制作、爪を「体の部位で唯一、手軽に描写・書き換えの出来る表現媒体」と定義し、 身体性のあるファンアートとして、DOMMUNEの配信内容を描く「今日のDOMMUME爪」。これら活動を並行しながら年に数回、人に爪を塗る「塗る企画」を TONOFON FESTIVAL2017等の音楽フェスやその他イベントにて実施。

INFORMATION

連載:つめをぬるひととつくる自分のために塗る爪
連載:つめをぬるひととつくる自分のために塗る爪
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第一回:彼は「自分なんて」を一切言わない。
第ニ回:コンプレックスの有効活用。
第三回:ターニングポイントはボーナストラック。
第四回:変わることと隠すことは紙一重。
第五回:「始まっている」と思った時から、それは始まっている。
第六回:誰も行けないのに、誰にも言いたくない店の話。
第七回:過去の手紙と、SNSをやっていない友人。
第八回:帰省という日常と、旅行という非日常。
第九回:朝5時、蒸し暑い夏の幕張。
第十回:物欲と金銭状況の均衡。
第十一回:拠点を変えてみるという選択。
第十二回:全力で応えるのは敵意ではなく好意でありたい。
第十三回:競技よりも色濃い、発掘された石の記憶。
第十四回:爪作家と名乗る理由。
第十五回:配色という名の遊び。
第十六回:夢のような夜明け。
第十七回:苗字が変わることで救われる人もいる。
第十八回:自分に課した楽しみでさえも逸してみる休日。
第十九回:服の影に見惚れたこと。
第二十回:体の操縦。
第二十一回:根拠のないおまじない。
第二十二回:なんてことない場所でも楽しいと思えることを誇ろう。
第二十三回:自分に合うという感覚を大事にする。
第二十四回:ダミ声の猫。

イベント情報
イベント情報
つめをぬるひと個展
『サードパーティー』

2018年2月10日(土)12:00〜18:00
2018年2月11日(日)11:00〜17:00
会場:東京都 渋谷ANDERCURRENT
(東京都渋谷区桜丘町9-17-303、渋谷駅徒歩6分)
つめをぬるひと個展『サードパーティー』

つめをぬるひと初の個展。つけ爪の展示販売や、イラストレーターのシバミノルさんとつけ爪を共同制作する他、「今日のDOMMUNE爪」のコラージュ作品などを展示。She isオリジナルネイル使用のつけ爪も販売します。

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