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第十二回:全力で応えるのは敵意ではなく好意でありたい。

万人から関心を集めるのがモテなら、敵意も内訳に入る?

2018年11月 特集:モテってなんだ?
連載:つめをぬるひととつくる自分のために塗る爪
テキスト・撮影:つめをぬるひと 編集:竹中万季
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万人に好かれることをモテると言うのであれば、私は多分モテない。恋愛に限らず、あらゆる人間関係に言えることだが、それにはちゃんと理由があって、私が「関わりたくない人からちゃんと嫌ってもらえる」という特徴を持っているからだと気づいた。

誰でも一度は「あまり関わりたくない人」と出会うことがあると思う。気を遣ったやりとりが必要になると、私たちは言葉を選び、空気を読む。本来、仲良くしたい、助けたい、と思っている人に気を遣うことが、「気遣い」の理想的な使い方かもしれないが、そうではない人に、必要以上に気を遣って疲弊することも「気遣い」と言えるのかは正直分からない。

変な話だが、私は「あまり関わらないほうがよさそうだな」と思う人から気に入られることがほとんどない。そもそもそんな人は稀だが、そういう人からはこちらが何もしなくても勝手に敵意を向けられ、ひどい時は嫌がらせを受けることもある。先入観をなくして普通に接していても。気を遣っても、遣わなくても。

虫の居所が悪かったのかもしれないし、なにか粗相をしてしまったのかもしれないが、残念というよりは「やっぱり」という気持ちになる。短絡的かもしれないけど「もうこの人に必要以上に気を遣うのはやめよう」と、密かに気遣いの匙を投げることもある。

「好きの反対は無関心」とよく聞くが、仮にそれが正しいのであれば、敵意を向けてくる人は私に関心があるということになる。万人から関心を集めることがモテるということならば、敵意も「関心」の内訳に入るんだろうか。だとしたらモテの定義が揺らぐような気がしなくもない。

逆に「こういう人になりたい」「なにか力になりたい」と思う人との関係は、とてもシンプルだ。良い関係の中でやりとりされる「気遣い」には疲弊することがなく、自分の労力や時間を思いっきり注ぎたいと思える。中身のある強い芯を持った人のやることはずっと見ていたくなるし、その芯が折れそうな時は助けたい。放っておけないところや、そそっかしい部分があっても手を差し伸べたくなるのは人間的な魅力のある人だと思う。それに、私を応援してくれたり、支えてくれる人には、ちゃんと返したいという気持ちになる。

自分が応えるのは、敵意ではなくやっぱり好意でありたいし、モテの定義もシンプルに好意であってほしい。

関わりたいと思う人からはちゃんと関わってもらえて、関わりたくないと思う人からはちゃんと嫌ってもらえる、というのは清々しいもので、自分の培ってきたものや労力、気遣いを、ちゃんと捧げたい人に全力で捧げることができる。

本当は誰にでも気遣いできるほうが理想かもしれないが、そこまで善人ではないし、労力や時間は限られている。自分の持っているものを、無駄なく捧げることができるこの性質は、私の長所だ。

11月の特集テーマ「モテってなんだ?」の爪「solicitude」

どうせモテるなら好意でモテたい。全力で応えるのは敵意ではなく好意でありたい。

使った色

A. She is オリジナルネイル「Mellow mellow」
(11月のギフト「モテってなんだ?」に同梱)
B. シルバー
C. ゴールド
D. 白
E. グレー
F. 細筆の黒と白
G. ラメの入ったネイル
(今回は2月のギフトに同梱されていた「Ultra love」を使用)

塗り方

1. 左親指にシルバーを塗り、右親指にグレーを、右薬指にゴールドを塗る。
2. 他の指に「Mellow mellow」を塗る。
3. シルバーを塗った左親指には「Mellow mellow」とグレー・白で円を描く。
4. グレーを塗った右親指には「Mellow mellow」で右上に四角を描き、細筆の白と黒で上下に二本の線を描く。
5. 「Mellow mellow」を塗った左中指に細筆の白で二本線を描く。
6. 最後に右親指の好きなところに、ラメの入ったネイルをちょんと乗せる。

右親指に描く白と黒の二本線は、どちらも赤とグレーの境界線から上下に向けて線を走らせている。
白は境界線から爪先側へ、黒は指を逆さに向けた状態(爪先を自分に向けた状態)で境界線から指の根元側へ筆を動かすほうが描きやすい。

PROFILE

つめをぬるひと
つめをぬるひと

爪作家。CDジャケットやイベントフライヤーのデザインを爪に描きそのイベントに出没する「出没記録」、「身につけるためであり 身につけるためでない 気張らない爪」というコンセプトで爪にも部屋にも飾れるつけ爪の制作、爪を「体の部位で唯一、手軽に描写・書き換えの出来る表現媒体」と定義し、 身体性のあるファンアートとして、DOMMUNEの配信内容を描く「今日のDOMMUME爪」。これら活動を並行しながら年に数回、人に爪を塗る「塗る企画」を TONOFON FESTIVAL2017等の音楽フェスやその他イベントにて実施。

INFORMATION

連載:つめをぬるひととつくる自分のために塗る爪
She isのオリジナルネイルを使って生まれた爪のレシピとエッセイを毎月お届け

第一回:彼は「自分なんて」を一切言わない。
第ニ回:コンプレックスの有効活用。
第三回:ターニングポイントはボーナストラック。
第四回:変わることと隠すことは紙一重。
第五回:「始まっている」と思った時から、それは始まっている。
第六回:誰も行けないのに、誰にも言いたくない店の話。
第七回:過去の手紙と、SNSをやっていない友人。
第八回:帰省という日常と、旅行という非日常。
第九回:朝5時、蒸し暑い夏の幕張。
第十回:物欲と金銭状況の均衡。
第十一回:拠点を変えてみるという選択。
第十二回:全力で応えるのは敵意ではなく好意でありたい。
第十三回:競技よりも色濃い、発掘された石の記憶。
第十四回:爪作家と名乗る理由。
第十五回:配色という名の遊び。
第十六回:夢のような夜明け。
第十七回:苗字が変わることで救われる人もいる。
第十八回:自分に課した楽しみでさえも逸してみる休日。
第十九回:服の影に見惚れたこと。
第二十回:体の操縦。
第二十一回:根拠のないおまじない。
第二十二回:なんてことない場所でも楽しいと思えることを誇ろう。
第二十三回:自分に合うという感覚を大事にする。
第二十四回:ダミ声の猫。

第十二回:全力で応えるのは敵意ではなく好意でありたい。

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