私は「料理を大人から教わる」という経験があまり多くない。特に高校生の時は家事をほぼ自分でしていたので、大学から一人暮らしをした時に「家事ってこんなに大変なんだ」と気づくのではなく、「一人分の家事ってこんなに楽なんだ!」と感動したのを覚えている。
ただ、一人暮らしの料理というのは自分が食べたいものを食べるから、栄養も見栄えも気にせず、モザイクをかけたら茶色しか使わなくて済むご飯ばかり食べていた。数年前に夫と住み始めてから気づいたことは、私は料理を「ただしていた」だけで、上手なわけではなかったということだ。
夫は小学生の頃に「料理の鉄人」ブームで「俺は周富徳になる!」と言っていたらしく、その頃からお母さんに料理を教わっていた。今でも料理をすることが好きで私よりも上手いので、一緒に住み始めた当初は、私が作ったものにやんわりと指摘が入った。今まで私の中で常識だと思っていたことがたくさん覆されたし、使うと美味しくなる調味料の知識も増えた。
そうした指摘や知識を、覚えたり、忘れたり、また思い出したりしているうちに突入した2020年。家にいる時間が増え、今まで作ったことのないものや、時間をかけて作るものに挑戦することも増えた。
特に料理欲を刺激されたのは、YouTubeのVlog。生活音の多い動画が好きで、物音だけがするモーニングルーティーンや、淡々と料理をしている動画を、夕方頃から作業用BGMとして流すことで、炊事へのモチベーションを高めてから夜ご飯を作るという習慣がついた。
この頃の私は、千切りに癒されていた。これまでの人生で「千切りがしたい」なんて思うことがあっただろうか、と思うと少し感慨深いが、千切りをしていると仕事のことやSNSの情報から離れられるし、無心になれる。火が通るのも早い。
先日のお正月は、人生で初めておせちを作った。最初は「なんか作ってみようかな」くらいのふんわりとした思いつきだったけど、日頃から貴重なご意見を頂戴する夫を感嘆させてみたくなったし、料理ができるようになった自分の“成長”を可視化してお祝いしたいとも思った。
作ったといっても、黒豆と数の子は出来合いだし、重箱の調達が間に合わず、結局おせちプレートということにして皿に盛り付けた。こんなに重箱需要のありそうな時期でも、あまり重箱を置いている店がなくてびっくりしたが、「まあそんなに何個も買うものじゃないからな」と無理やり自分を説き伏せ、海老や高野豆腐を煮て、芋きんとんや紅白なますも作って、蒲鉾の飾り切りにも挑戦した。
料理が上手な人からしたら難しいことではないのかもしれないけど、私にとっては成長なのだ。
おせちは新しく迎える年の健康や幸せを願うものなのかもしれないけれど、今回のおせちは、頑張った一年の成長を祝うおせちだったのかもしれない。
1・2月の特集テーマ「それぞれの祝福を」の爪「Praise」
私だけの祝日は、ハレとケの境界線を自分で決める
使った色
A.淡い黄色
B.紺
C.赤
D.ベージュ
(今回はマットのベージュ「OSAJI アップリフトネイルカラー 103 余韻」を使用)
E.白
F.オレンジ
G.ミントグリーン
H.シルバーラメ
塗り方
1.右手の親指・中指、左手の中指・小指を淡い黄色で塗り、紺で波線のモチーフを描く。
2.右手の人差し指、左手の薬指を紺で塗る。
3.右手の薬指・小指、左手の親指・人差し指を赤で塗り、ベージュで波線のモチーフを描く。
4.右手の親指と、左手の人差し指に、オレンジ・ミントグリーン・シルバーラメで小さい点を描く。
5.右手の小指と、左手の中指に白で点を描く。
6.右手の人差し指に、白で細く線を5本描く。