私は爪のことをSNSに投稿しておきながら、TLに爪の写真が出てくることが少ない。
インスタでフォローしている方は、音楽・服飾・雑貨・料理・動物といったジャンルを投稿していることが多いけど、
ネイルのアカウントをフォローしたくないということではなく、自分の手で作る「好きなもの」と、目にしたい「好きなもの」が違うのかもしれない。
毎年新しく出会う好きなものや人というのは、本当に途絶えることがない。
「今年はこんなに素敵なものを知って好きになったけど、来年はそういうものに出会えるんだろうか」と思っていても、
ちゃんとその時期その時期で、新しく好きだと思えるものや人に出会って、自分を救っている気がする。
2018年5月に書いた連載第6回の「誰も行けないのに、誰にも言いたくない店の話。」という記事に、今はもう閉店しているカフェの話を書いた。
そのカフェにはブログがあって、閉店最終日の投稿には「続く人とは続くでしょう!」と書かれてあった。
突き放しているように見えるかもしれないけど、その言葉の清々しさと軽やかさが格好良く見えて、将来こういう大人になりたいと思った(私は30代になった今でも「大人になったら」とか「大きくなったら」という言葉を使ってしまう)。
昔、高校を卒業して地元から上京したての頃、同じく上京した数人で「上京組」として、しばらく月1で集まっていたのだが、
ある時、上京組の一人に「もうそんなに集まらなくてもいいんじゃないか」と言われてしまった。「集まりたい時に集まって、月1とか決めずにさ。」と。
言われたときは寂しさを感じたけど、それぞれの新しい生活もあるし、義務で集まるのは確かに違う、と気づかされた。
それ以降、上京組で集まることはなくなったけど、その人は大学卒業後に外務省で勤務していると聞いた。
高校の頃から成績がずば抜けて良かったけど、その能力に驕ることなく謙虚で、海外留学を何度も経験して、勉強も就活も忙しかったに違いない。
そういう生き様だからこそ、あの提案には納得したし、そんなしょっちゅう集まれないのは当然だった。
爪のことを始めてから8年目にもなると、出会ってきた人々との関係性にはどうしてもバラつきがでてしまう。
昔に知り合って今も交流を続けている人、たまにやりとりをして細く長く続いている人、今は全く連絡を取らなくなってしまった人。
当たり前なことだけどそれが自然で、どれが良い悪いということでもないと思う。
これまでに関わった全員と、密な連絡を8年続けようと思ったら、きっと私はつけ爪をひとつも作らないまま、爪作家とは名ばかりで、
まるで映画『パラサイト』の「この石が僕から離れてくれないんだ」というシーンのように「スマホが右手から離れてくれないんだ」とか言いながら、
頻繁に連絡することによって逆に離れていく人も増えて、それを修復しようとして更にスマホが右手から離れてくれない、という負のループで1年ももたないだろう。
連絡を取らなくなってしまったことに対して「ああ最近やりとりしてないな」と思うこともあるけど、
あのカフェのブログで見た「続く人とは続くでしょう!」という言葉は、そんな気持ちをほんの少し軽くしてくれて、
自分が今やるべきことや、今ある関係性を大切にすることに集中していいんだよ、と言われているような気分になる。
昨年の夏、高校のクラスのLINEグループにこんな通知がきた。
「先日バグダッドを離任し、近々また別の国に赴任する予定です」。
なんだか話のスケールが大きくて圧倒されたけど、この遠すぎるくらいの距離感がかえってちょうどいい。
“続く人とは続くでしょう”という言葉は、今とこれからを大切にするための言葉として、軽やかに持っておきたい。
3月の特集テーマ「出会う、何度でも」の爪「Continue」
いろいろなことと何度でも出会い直して、続く人とは続くでしょう
使った色
A.くすんだ青
B.水色
C.ピンク
(今回はコゼットジョリ MOMO URUWASHIを使用)
D.白
E.サーモンピンク
(今回はOSAJI アップリフトネイルカラー 16 Eriを使用)
F.深緑
G.黒or茶色
(今回はOSAJI アップリフトネイルカラー 15 Doukutsuを使用)
H.マットのベージュ
(今回はOSAJI アップリフトネイルカラー 103 Yoinを使用)
I.赤
J.ゴールド
塗り方
1.右手の親指・人差し指、左手の薬指・小指にくすんだ後を塗る。
2.右手の薬指・小指、左手の親指・人差し指に水色を塗る。
3.右手の中指に白を塗り、乾燥したらサーモンピンクを重ねて塗る。
深緑、黒or茶色、マットのベージュを左から順に太めの線で重ねて描く。
一つ一つの線は乾燥してから重ねて描くとにじまない。
ゆるやかな波線や、細やかな波線など、線にバリエーションがあると楽しい。
4.左手の中指にピンクを塗り、乾燥したら白で、細筆などを使って斜線を描く。
5.両手の人差し指・薬指の先端にゴールドの点を描く。
6.右手の親指には白で、左手の親指には赤で点や線のモチーフを描く。
利き手を描くのが難しかったら、モチーフは描かなくても可愛いと思う。
台紙にはこれまでのShe isオリジナルネイルを使用しました。